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Fuga da casa #6 side N

真に夕食をもてなすと、俊介さんはどこかへ出掛けて行った。時間にして20分程経過した頃、俊介さんは帰宅し、真は食後のコーヒーを飲んでいた。『ジロジロ見ないでよ』と怒られながらも、隣で真の顔を見ていた。 コトリ。 俊介さんがテーブルに何かを置いた。それは大きなキーホルダーがついた鍵だった。 「これはゲストハウスの鍵だ。場所は分かるな。」 別荘地内にはゲストルームとゲストハウスの両方あって、ゲストルームは一つの建物内に何部屋かあるマンションのような造りで、それに対し、ゲストハウスは大人数を収容出来る施設で、戸建てになっていた。 「場所は分かるけど…」 「これを期に、ここでもう少し話し合って来い。」 「「えっ?」」 「二人きりでゆっくり話し合うなんて、自宅じゃ無理だろう?」 「でも…お父さんは?」 さっき興奮したからか、疲れ気味にソファーに身を任せる冬真パパを二人して見つめた。 「少し疲れたみたいだから、今日はうちに泊めて、明日、俺が自宅へ送る。」 「だけど…」 何か言おうとした真を制し、俊介さんはちょっと厳しい表情で言う。 「真…そろそろ決め時なんじゃないか?覚悟を。」 「覚悟…」 真はそこで黙り込んでしまう。さっぱり状況の分からない俺は真に尋ねる。 「なぁ、真。覚悟って?何の覚悟?」 すると、程なく平手打ちが飛んできた。 「あっ、痛っ!何すんだよ!ひでー!ひでーよ!」 俊介さんは呆れたような、憐れむような表情で俺達を見つめた。

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