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Boss #3 side S

話せば話すほどボスは魅力的な人だった。知識も豊富で豪快でとても愉快。その上、話上手。食事の席は笑い声が絶えなかった。しかし、デザートが運ばれた時、それまでの和やかな雰囲気から一変、ボスは急に真面目な表情を見せた。 「さて、私の素性の件だが…」 「ボス?」 「何だね?直生君。」 「俺…別にいいです。知らなくても。」 「ほぉ…何故?」 「まぁ、気にならないって言ったら嘘になるけど…冬真パパがあえて真とボスを会わせなかった理由、それがずっと引っ掛かってます。それで、俺なりに考えたんですけど…多分、真をボスに会わせると、パパが真に知られたくないこと、秘密にしていることを証さなくてはならないからだったんじゃないかなって思って…だったら、俺は別にボスのことも、パパの秘密も知らなくていいかなって思ってます。パパはとにかく神秘的というか…秘密が多い人だけど、俺はその全部を知りたいとも思わないし、話して欲しいとも思わない。俺達はパパのお使いで今日ここに来た。そこにはパパの知り合いのおじいさんが一人いて、その人がめちゃめちゃ面白くて、良い人で、俺達は楽しい時間を過ごした。それだけで良いんじゃないかなって思ってます。真は違う意見かもしれないけど…」 直は僕を心配するようにちらりと見た。 「僕の父…冬真は僕の父親だけど…普通のそれとはちょっと違くて…何て言うのかな。全力で守りたくなるような人なんです。息子の僕ですらそう思うのですから、パートナーである葉祐は尚更でしょう。あのジェノベーゼソース…あれは非売品で、葉祐が感謝の気持ちとして、親しい、ごく僅かな方々のためだけに作っている物なんです。それを毎年欠かさず、葉祐は冬真の知人であるボスに送っている。それだけでも分かって…充分ではないかと思っています。」 僕の言葉を最後にしばらく沈黙が続いた。それを打ち破ったのはボスだった。 「良い子に育ったなぁ…パートナーだけじゃなく、子供達からもこんなに愛されて、冬真は本当に幸せになったんだな。うん、君達なら大丈夫!全てを話そう!私のこと、冬真のこと。まずは私の名前からだな。」 ボスは急に立ち上がり、頭を下げた後、僕達二人に名刺を差し出した。 「私はこういう者です。真祐、直生、改めてよろしく。」 その名刺を見て…僕達は絶句した。

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