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雨の日の冬真 #2 side K

「う〜ん······」 意外にも俺の呼び掛けに冬真さんはすぐに応えた。 「···和···くん···?」 「はぁ···冬真さん···良かった〜」 「あれ···僕···えーっと······」 「ご気分は?悪くはないですか?」 「大丈夫···それより···ちょっと腕が···」 腕には倒れた際に出来たと思われる打ち身のような大きな痣があった。 「これは痛いですね。手当をしましょう。その前に頭を打っていたら大変ですので、お嫌かもしれませんが救急車を呼びます。それから俊さんと葉祐さんに連絡します。恐らく体は動かさない方が良いはずなので、寒くて痛いでしょうけれど、このまま我慢してくださいね。ブランケット持って来ます。」 「うん··」 小さく頷いて冬真さんは瞳を閉じた。リビングに常備してあるブランケットをそっと掛け、救急車を呼び、ひとまずこの状況を俊さんに連絡した。そして、冬真さんの隣に横たわる。 「ごめんね···」 と冬真さんは小さな声で言った。 「気にしないで。ねぇ、冬真さん?」 「うん?」 「今日ね、冬真さんとお茶をしようと思って訪問したんです。俊さんからお菓子を頂きました。俊さん曰く、冬真さんがお好きなお菓子だそうですよ。」 「はぁ······残念···」 「そんなにがっかりしないで下さい。紅茶もお菓子も次の時までとっておきますから、早く元気になって一緒にお茶しましょう。」 冬真さんからは返事はない。その代わり、小さな寝息がすぅっと聴こえた。 この状況を冷静に考える。すぐに受け答えが出来るということは、持病の心臓に何かが起こったとは考えにくい。テーブルの上の物とこの冷えきった体···倒れてからだいぶ時間が経過しているのは確かだ。 冬真さんの身に一体何が起こったのだろう···

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