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女神の異変 #2 side S

お父さんは本当に良いことをしたんだよ。 だから...俯かなくても良いんだ。 冬葉が泣いたのは...冬葉が良い子だっていう証拠じゃないか。 もっと誇らしげに顔を上げて! お父さんは僕の自慢のお父さんなんだから。 幼稚園に到着すると、園長が僕らを出迎えた。そこで冬真は考えもしなかった行動に出た。 「せんせい...おさむくん...会わせてください...」 冬真は園長に理君に会わせてもらえるよう依頼した。園長は怪訝な表情で冬真を見詰めた。 「お父様のお気持ちは分かります。ですが、ここは園に任せては頂けないでしょうか。」 「おさむくん...せめません。ただ...話が...したいだけ...おねがい...します...」 「いや、しかし...」 「おさむくん...今...かなしい。お父さん...会えなくなる...おさむくん...とてもふあん。」 「......」 「お父さん...いなくなる...とてもかなしい。ぼく...きもちわかります...ぼく...りょうしん...いないから...」 冬真はすでに息が上がり始め、それっきり何も言わなかった。沈黙が流れる。僕は不安で仕方がなかった。理君と接することで過去の自分と向き合う形になる冬真が、また不安定になるのではないかと思ったから... 真剣に理君を案じる冬真の気持ちが届いたのか、園長は理君と会うことを許可し、お迎えの30分前に来る様に告げた。そして、冬真がまた思ってもみない発言をする。 「せんせい...その時…冬くんも...よんでください...」

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