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天使の企み #1 side Y
冬葉は園であったことをぽつりぽつりと話し始めた。先程までのプリンを嬉しそうに頬張る勢いはすっかり消え、徐々にしょんぼりとしていく。そして、話しが終わったことを知らせるようにホットミルクを啜った。
「パパ?」
「うん?」
「とうまパパ...ずっとびょういんにいたから、ようちえんもがっこうもいけなくて、おともだちがいなかったって。とうまパパのじいじも、あんまりびょういんにこなかったんだって。」
「うん...」
「とうまパパかわいそう...ふゆくんにはママはいないけど、パパもとうまパパもしゅんパパもそばにいてくれて、しんちゃんだっていてくれる...とうまパパには、パパもママもいなくて...じいじもきてくれなくて、おともだちもいない。さびしいときとかこわいとき、どうしてたのかなぁ?きっと...ないちゃったよね?えーん、えーんって。」
「そうだな...冬真パパのことだから...誰にも言わないで一人でこっそり隠れて泣いていたかもしれないね。」
「パパはいってあげなかったの?びょういん...」
「行ったよ、毎日ね。」
「よかった!パパがいてくれて。ふゆくん...もう、とうまパパにないてほしくない!とうまパパには、いつもニコニコちゃんでいてほしい!ふゆくん、とうまパパがニコニコちゃんでいられるようにがんばるね!」
鼻息を荒げ放った言葉と両腕で作った小さい力こぶ。そこには強い意志が感じられ、その横顔はあまりにも冬真にそっくりで、思わず笑みが溢れた。
「なぁ、冬葉?」
「なぁに?」
「パパはさ、冬真パパを世界で一番幸せなパパにしたいんだよ。」
「しあわせ?」
「うん。まあ、冬葉の言葉を借りれば、毎日毎日、ずっとニコニコちゃんにしたいんだ。冬真パパは不遇の時代が長いから。」
「ふぐうのじだいって?」
「あーごめん、ごめん。そうだな...ちょっと可哀想な時間ってこと。」
「うん...ふゆくんもないちゃった。とうまパパなーんにもわるくないのに...」
「だろ?だからさ、そんなの帳消し!ってなるぐらい、毎日いーっぱいニコニコちゃんにしたいんだ。それにはパパ一人の力じゃ無理でさ。真や冬葉にも手伝ってもらいたいんだ。どうだ?手伝ってくれる?」
「うん!おてつだいする............あっ!ふゆくん、いいことおもいついた!パパ、おりがみくださいな。」
「折り紙?何で?家帰って冬真パパとしたら?」
「ダメダメ!それじゃダメなの!」
店に置いてあるものを差し出すと、冬葉は嬉しそうに折り紙を物色し始めた。
「なあ、良いことって何?」
「うふふふふ.....ないしょ。ないしょ。うふふふふ...」
よっぽどの妙案なのか、冬葉は瞳をキラキラと輝かせ、時折、両手で口を押さえてはうふふと笑いを堪えきれずにいる。冬葉はすっかり元通り。この朗らかさがこの子の強み、俺達家族の救い。
さぁて、早く帰ってやらないと。
冬真はきっと…落ち込んでいるだろうから…
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