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かくれんぼ #2 side F
「とうまパパはケンカ、たのしいの?」
冬くん、パパに聞いたんだ。そうしたらね、パパが冬くんをじっと見たの。冬真パパのおめめはね、じいじが飲む、ウィ...何とかっていうお酒の色に似てて、とってもキレイなの。パパにじーってされるとね、冬くん、ドキドキちゃんになっちゃうんだ。今もねドキドキちゃんになってたら、パパがお返事したよ。
「ぼくは...いや。ケンカ。」
良かった!パパもケンカ、キライだって!
冬くんもケンカキライ!
「ねえ、冬くん?」
「なぁに?」
「冬くんは...いやなこととか...やめてほしいこと...ちゃんと...言えるよね?いやだよ...とか...やめて...って...」
「うん!いえるよ!」
「そう...冬くんは...そのままでいてね...君まで...ぼくのぎせいに...ならないで...」
パパは冬くんの頭をなでなでしたの。冬くん、パパになでなでしてもらうの大好き!だけど、冬真パパはとっても悲しそうで、ちっとも嬉しくなかった。
『ぎせいってなぁに?』
聞こうとしたけれど、パパは立ち上がって、キッチンで何かご用事を始めたから聞けなかったんだ。冬真パパがキッチンでご用事をしている時は、『いいよ』って言うまでお話しちゃダメって、葉祐パパとのお約束してるんだ。危ないからダメなんだって。ご用事が終わると、冬真パパは真ちゃん達がいるテーブルに行っちゃった。よーく見たらね、パパはお手てにカップを持っていて、そのカップから湯気がもくもくしているのが見えたの。
あっ!あれはあっちっちぃのお飲み物!
冬真パパと冬くんは、あっちっちぃのものは持っちゃダメって、葉祐パパに言われてるの。これも絶対のお約束。
「葉祐パパ!」
葉祐パパを呼んだけど、お返事がない。
そうだ。葉祐パパはさっき、お仕事のお電話が掛かってきて、出て行っちゃったんだっけ。
どうしよう...早く誰かに教えないと!
どうしよう...パパ!葉祐パパ!
「お父さん!何やってるの!危ないじゃない!」
真ちゃんが大きい声で言って、冬真パパからカップを取ったんだ。
良かった!真ちゃんが気が付いてくれたよ!
ふぅ...
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