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それは、一方的な③

「あっきー、お昼一緒に屋上行こ~」 「・・・相良(さがら)先輩」 なんやかんやで付き合う事になった俺たち。 まあ、昨日からなんだけど。 今朝からは休み時間毎に会いに来る、何て事がなかったから油断していた。 まさか昼休みに迎えに来るとは。 てか、4限の授業は最後まで受けてきたのか? いや、受けてないだろうな。 チャイムと同時に現れたし。 「相良先輩、授業ちゃんと受けてるんですか?」 「え~?そぉ~んな事気にしない気にしない~!さ、屋上へれっつご~!」 「・・・はぁー・・・」 仕方なく弁当を持ち席を立ち上がると、弁当を持っているのとは反対の手を取られる。 あ、また恋人繋ぎしやがった。 「ちょ、先輩、放してください!」 「結斗(ゆいと)って呼んでくれたら考えてもい~けど~」 「・・・」 呼ぶわけないだろ。 だからといって、このまま屋上まで恋人繋ぎされたままなのも困る。 「・・・・・・ゅ・・・ゆいと、先輩」 「なあに~あっきー」 「手を放してください」 「あはは、や~だ~」 この野郎・・・っ。 「放せってば!恥ずかしいだろ!」 「恋人同士なんだから恥ずかしくなんかないでしょ~?てか、その方がいいよ。敬語はナシで」 「はあ?」 タメ口で文句を言う俺に、嬉しそうに笑顔を向ける相良、もとい結斗。 う、不覚にも、格好良いとか、思ってしまった・・・。 「恋人って・・・取り敢えずだからなっ」 「わかってるって~。ま、すぐに落としてやるけどねん」 誰が落ちるかっ。 いや、付き合うって了承した時点で半落ちか・・・。 兎に角、これ以上落ちてなるものか。 屋上に着き、2人で並んで昼飯を食べながら、ふと思った。 「屋上って、昼の人気スポットっぽいのに、誰も来ないんだな」 「俺らがいるじゃ~ん」 「いや、俺らだけじゃん」 こんなに天気が良いのに、誰も屋上で飯食おうとは思わないんだろうか。 「そんなに気になるん?」 「うん、まぁ」 「多分ね、俺が原因だと思うよ。昼の屋上は俺の貸切りって事にしてるから」 「・・・は?」 結斗の貸切り? 何で? あ、不良だから? でも、皆の屋上を貸切りにしちゃえるって事は・・・。 「結斗って、喧嘩強かったりすんの?」 「うん、そ~ね、この学校では一番かもね」 「・・・・・・」 やばいのと面倒臭い関係になってしまった・・・。 「普通の不良だと思ったのに・・・」 「あは、なあに普通の不良って。俺は普通だよ?」 「いやいや、屋上陣取っちゃってる時点で普通じゃねーよ」 結斗は「そ~かな~」とか言いながら昼飯のパンをかじってる。 こいつが学校一の不良・・・。 そおは見えないけど・・・。 「なあに?じ~っと見てきちゃって。惚れた?」 「ち、ちが・・・っ」 「赤くなった~。かぁ~わい」 「・・・・・・っ」 ほんとに、何なんだこいつ。 何でこんなのに好かれちゃったんだよ俺・・・。 「(あきら)」 「は、はい?」 「ちゅーしよっか」 「はあ!?」 何? 何言っちゃってんの結斗先輩? するわけないじゃん! 「しないっ」 「い~じゃん、しよ?」 「よ、良くないっ、しないっ」 「もぉ~、可愛いなぁ」 何が可愛いんだ・・・。 てか近付くな! 俺はしないって言ってんだろうがっ! 「旭」 「んっ・・・!」 ぎゃー! ちゅーされたぁ!! 「んんん・・・っ」 「こら、旭、おくち開けなさい」 開けるかぁー! ぶんぶんと首を横に振ると、結斗がにっこり笑った。 え、何で笑う・・・? 「言う事聞かない子にはお仕置きしちゃうよお?」 「・・・・・・っ」 しゅるり、とネクタイを外され、シャツの釦を2つ外され・・・。 「・・・ひぁっ!?」 鎖骨を舐められた後、ちくりとした痛みが走った。 え、まさか・・・。 「俺のもの印」 「ふ、ふざけんぁ・・・んふぅっ」 キスマークを付けられ文句を言おうとして開けた口に、がぶっと食い付かれた。 舌が絡み合う。 「ん・・・んく・・・っ・・・ふぁ」 ちょっと、ディープキスとか、やめてくださいよ・・・。 ちゅっと音をたて、離れていく唇。 ぼーっと見ていると、結斗はまた格好良く笑って言った。 「落ちちゃった?」 「・・・・・・・・・なわけあるかぁー!!」 end

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