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此処は何処、貴方は誰
朝目が覚めたら、知らない部屋の知らないベッドで、知らない男と寝ていました。
「───っ!?」
知らない男は俺を抱きしめてすやすやと眠っていて、俺はほんと、此処は誰、俺は何処、状態。
つまりパニックだ。
「・・・ん・・・・・・」
あ、俺を抱きしめて寝てた男が目を覚ましそうだ!
ど、どうしたらいい?
俺はどうリアクションしたらいい!?
「・・・ぁ、おはよ」
「・・・ぉ、おはよぅ・・・?」
普通に朝の挨拶をされたので、戸惑いながらも返す。
で、貴方は誰ですか。
「ぁの、俺は、どおして、その・・・」
「・・・んぁ?何?」
いや、だから・・・。
「俺、どおして貴方と寝てたんすかね・・・?」
「・・・・・・え?覚えてないの?」
えー!!
何かあったのー!?
こんな事に繋がるような出来事を何で俺は忘れてんのー!!?
「す、すみません、記憶が・・・」
「あー、相当酔ってたしね。覚えてないかぁ」
酔ってた?
あ、そうだ、サークルの飲み会で、飲んでて、それで、ええと・・・。
「サークルの飲み会に参加してたとこまでは、覚えてます・・・」
「そう、その飲み会でね、君はもーへにゃへにゃに酔っちゃって、俺に寄っ掛かったまま寝ちゃって、だから連れて帰ってきたんだよ」
「・・・大変ご迷惑をお掛けいたしました」
取り敢えず謝る。
でも、何でまだ抱きしめられた状態なんだ?
「ぁの、もう放していただいても・・・?」
「え?・・・ああ」
男は俺を抱きしめていた事に全く動揺せず、腕の力を緩めた。
起き上がった俺は、自分が上半身裸な事にちょっと焦る。
あれ、服は?
あ、ベッドから少し離れたとこに落ちてる。
下は・・・ちゃんと穿いてた、良かった・・・。
「服、暑いって言って自分で脱いだんだよ」
「・・・大変お見苦しい所をお見せいたしました」
酔っていたとはいえ、何やってんだよ俺・・・。
「あの、ほんとに、すいませんでした。俺、弓槻 っていいます」
「弓槻って名字?昨日は『ひーって呼んでくらはい』って言ってたよ」
「ひー・・・、俺、聖 って名前なんで。てか、俺そんな阿呆みたいな事言ってました?」
「あはは、可愛かったよぉ」
・・・みっともないの間違いでしょう。
「で、貴方は?」
「俺?昨日はゆーちゃんって呼んでくれてたのに、それも忘れちゃった?」
ゆーちゃん・・・。
俺、初対面でそんなに懐いたんだ。
「ゆー・・・、ぁ、雄介さん、でしたっけ?」
「あ、思い出してくれた?」
はい、何となく。
ゆーちゃん、ひーちゃん、と呼びあっていたような、ぼんやり思い出してきた・・・かも。
「ひーちゃん、俺の事が好きだって言ってくれたから、俺はそのつもりで連れて帰ってきたんだけどね」
「は?」
好き?
そのつもり?
「えっちはまだだめって言うから、キスだけで我慢したんだけど、あんな無防備に寝ちゃって、俺の自制心を褒めてよ、ひーちゃん」
「はあ?」
何だそりゃ、どーゆー事だ?
俺は酔った勢いで何処へ逝こうとしたんだぁー!?
「酔って覚えてないって言っても、責任は取ってよね。俺も聖の事、初めて見た時から好きだし。両想いじゃん」
責任って・・・。
こっちは酔ってた上に、好きだと言った記憶もないんですが・・・。
しかも両想いって・・・、まじっすか。
「おいで、聖」
雄介さんが起き上がり、両腕を広げる。
は、何それ・・・って頭にハテナが浮かぶより早く、条件反射でその腕の中におさまる俺。
・・・・・・・・・え?
「・・・ぁ、れ?俺、何して・・・」
「やっぱり俺の事好きなんじゃん。これからよろしくね?聖」
えええぇー!!?
そうなの?
俺、雄介さんの事好きなの?
おいでって言われて素直に抱きついちゃうくらい?
一体昨夜 何があったんだぁー!?
酔っ払いな俺の馬鹿野郎ぉー!
end
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