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第三章(8)

(なに、これはどういうこと?)  自分の股間の状態に茫然自失となった。  彩都の花茎は熱を発し、これまでに無いほどに大きく堅く膨らんで、先端から透明な雫をポタポタと溢していた。駄目だと思うのに、微かに指先で触れてしまうと、頭を支配するのは更なる物理的な刺激への渇望で、彩都は無意識のうちに両手できつく花茎を握り締めて強く擦っていた。自慰なんて今までに数える程しかしたことが無かったのに、何度白濁を吐き出しても次から次へとなにかを求める熱がマグマのように噴き出して、両手の動きを止められない。  とうとう何も考えられなくなり、彩都は日がな一日、激しく自分の局部を擦り続けて過ごす羽目になってしまっていた。  擦りすぎて花茎の柔らかな皮膚から出血が始まり、痛くても止められなくて泣いていると、今度は下腹の奥がじんじんと痺れ始めた。それを認めた瞬間、彩都は自分の尻廻りがぐっしょりと濡れていることに気がついた。未だに鈴口から零れ出る先走りとは違い、粘質の体液がべたべたと尻たぶにまとわりついている。まさかと下着に手を入れ、普段は固く閉じているはずのそこに触れた途端、こぷ、と体内から粘液が溢れ出してヒクヒクと蠢いた。 (嫌だ、どうしてこんなっ)  慌てて下着から手を出そうとしたのに、彩都の指はあろうことかヒクつく後蕾の皺を確かめるようになぞると、そのままゆっくりと人指し指を体内へと進めていた。 (嫌だ、嫌だ、嫌だ! 僕はいったいどうなったんだ)  心が自分の行為を嫌悪している。なのに頭は強い麻酔を打たれたように痺れたまま、下半身から生まれる快感に抗うことができない。片手は血の滲む屹立が摩擦熱で発火しそうになるほどに動かし、蕾を探るもう片方の手はすでに指が三本も挿入されて粘膜を擦りあげていた。  こんなのは自分じゃない。なのにきつく閉じた瞼の裏には、襲いかかってきた男達のギラギラとした眼差しを思い浮かべていた。涙と涎でぐしょぐしょの枕に顔を押し当てて、彩都はとうとう大きな嬌声をあげた。

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