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第六章(10)

「ほんとに男じゃん。ってか、俺、こいつ見覚えあるような……。あ! こいつ、うちの農学部の教授だ!」 「マジかよ。斉藤、逃げようぜ。いくらなんでもこれはヤバイって。それにこの人はオメガじゃない、お前、クスリのやりすぎで勘違いしてんだよ」  彩都に気づいた二人の男が口々にヤバイと喚きだす。二人は東條大学の学生なのだろう。それに彩都を引きずってきた男の名を斉藤と呼んだ。その名は亜美にしつこく言い寄っていたという経済学部の学生と同じだ。 「アルファの俺に意見してんじゃねえ! オメガがうちの教授なんてありえないだろ。もしも教授だとしても、俺の親父に言えば大学を辞めさせるくらい簡単だって。それにお前らもさっきの女とヤってわかっただろ? エッチなことなんて一つも知りません、みたいな顔した女が何人の男をくわえ込んだよ? それでも満足しなくてアンアン言いながら自分から腰振ってただろうが。オメガなんて所詮、セックスするしか能のない畜生なんだ」  笑いながら斉藤が男達に彩都を押さえつけるように命じた。 「やめなさい、君たち! こんなことをしてただで済むと思っているのかっ」 「へへ、声が震えてるぜぇ。どれどれ、オメガなら男も女と変わらねえのかな」 「斉藤、本当に男相手にヤる気かよ?」 「アルファってのは見境いねえのか」  二人の男達に地面に縫いつけられても、彩都は力の限りにバタバタと暴れた。その彩都の上に斉藤はのしかかると、ぎゅっと彩都の股間を握り締める。 「ひっ! 痛いっ!」 「おいおい、お前ガチガチだぞ? それにちんこ握るとすっげえ匂いがキツくなる。もしかして俺に発情してんの? かわいいとこあるじゃん」  そうか? と鼻を鳴らす仲間をよそに斉藤の息がはあはあと粗くなり、額から汗まで噴き出している。彩都は斉藤に指摘された自分の体の変化が信じられない。強姦されそうになっているのに、確かに今の自分の体は熱を帯び、掴まれている股間は痛みよりもじんじんと疼き始めていた。

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