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第八章(9)※

 裸体を稜弥に見つめられ、彩都は羞恥に喘ぐ。鈴口から滲み出る先走りが光る花茎を隠そうと手を伸ばしたのに、それを稜弥に阻まれて正面から抱きしめられた。稜弥の胸に頬を押しつけられ、彼の体臭がダイレクトに脳に響いて彩都はがくんと膝の力が抜ける。その場に座り込みそうになった彩都の両の尻たぶに稜弥は指を喰い込ませて支えると、双丘の間へと指を滑り込ませた。 「……すごい濡れてる。それにとてもやわらかい。もう……、受け入れる準備はできているってことか」  なぜか稜弥の台詞に口惜しさが滲んでいる。でも、それに彩都が気づくことはできなかった。 「うあ……、はあ、あっ、……ぁ」  ツプリ、と稜弥の指が彩都の秘蕾の入口の皺を撫でたあと、ゆっくりと挿し入れられる。普段は堅く閉じているそこは、今は抵抗もなく稜弥の指を温かな中へと迎え入れた。長くしっかりとした稜弥の指の腹は、膨らんだ彩都の前立腺にたどり着くのに時間はかからなかった。 「ここも探りやすくなっている。これが……、発情期のオメガの体……」  自身も彩都のフェロモンに誘発された稜弥は、熱い吐息を食いしばった歯の隙間から吐き出して、彩都の中から指を引き抜くと素早く彩都の体を後ろ向きに返した。 「いたっ」  肩を桜の木に強かにぶつけて彩都が唸る。しかしそれも後ろから勃ちあがった花茎を掴まれ擦られると、すぐに甘い声に変わる。 「……だめ、っそれ以上、……こすったら、でる……、でちゃうっ……、あっ、あ、でるぅ……」  いやいやと頭を振りながら、猛烈な射精感だけが彩都の思考を支配した。 「もっと……、もっとつよく……。ああ、もっとぉ……。ふぁっ! あっあっ!」  ぴゅるっ、と彩都の鈴口から勢いよく出た白い液体は、花茎を握る稜弥の手を汚す。稜弥はその手を自分の鼻先に寄せると、匂いを嗅いだあと赤い舌で手のひらについた精液を舐めとった。甘い、と呟いた稜弥が乱暴に自分のベルトを外す音が、達した余韻に桜に肩を預けて背中で息をする彩都の耳にも届いた。

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