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第九章(12)

 咄嗟に稜弥がガードマンに飛びかかる。セシルも宣親を護るように彼を背中に隠した。稜弥がガードマンの手からスタンガンを叩き落とすと、男は今度はポケットからバタフライナイフを取り出して無茶苦茶に振り回した。右へ左へとナイフの軌道を避け、稜弥は男の隙を見て足払いをかける。廊下に倒れ込んだ男の手から離れたナイフを蹴って遠ざけ、喚く男の両腕を後ろに廻して動きを封じた。  騒ぎを聞きつけた他の警備員がやってくる。稜弥に拘束された男は「アルファを堕落させるオメガを殺せ! オメガを庇うお前たちも同罪だ!」と喚き散らした。  警備員に男の身柄を引き渡した稜弥は、床に落ちていたピンバッチを見つけて拾い上げた。壁とセシルの背中に挟まれている宣親に、そのバッチを見せると、 「これは坂本さんにつけられていた首輪の刻印といっしょだ。元はアルファ創世教会の紋章、彩都も……、創世会病院にいるっ!」

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