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「……ッ!」
ドシン、と背中を地面に強く打って声にならない短い悲鳴が噛みしめた歯の隙間から漏れた。
一方、一緒に落ちたモンスターは獣の身のこなしで華麗に着地した。
「いたたた……」
情けない声を漏らしつつも、早くここから逃げなければ、と上体を起こそうとした俺の上にモンスターがそうはさせるかとでも言うように覆い被さってきた。
目をぎらつかせ俺を見下ろすモンスター。ハァハァと荒い呼吸を吐き出す口からは唾液に濡れた鋭い牙が見えている。
俺はごくりと唾を飲み込んだ。
死んだ。これは確実に確実に死んだ。
不可避の死を悟らざるをえない状況だった。ドゥーガルドが笛の光を頼りにここまで向かってきてはくれているだろうが、辺りは残酷なほど静かで人の訪れを全く感じない。
しかもドゥーガルドは今足を怪我している。ドゥーガルドがやって来る頃には半分くらい食べられているかもしれない。アーロンは……絶対に来ないな、うん。
何か時間稼ぎをしたいが、獰猛なモンスターを目の前にして頭が回るはずがなかった。
そもそもこんな状況でも回るような頭ならこんな状況に陥ることはなかっただろう。
万事休す。一縷の望みも入る隙間もない絶望的な状況に、俺は考えることを止め目をぎゅっと閉じた。
しかし、いつまで経ってもモンスターが俺に食らいつくことはなかった。
もしかして弁慶のように立って死んでいるのではないかという期待、というよりも妄想めいた願望を抱きながら恐る恐る目を開けた。しかしやはりモンスターは変わらずそこにいた。
ただ、モンスターのぎらついた目や荒々しい呼吸に違和感と、なぜか既視感を覚えた。
この目、どっかで見たことがあるような……。
「……ッ!」
違和感と既視感の理由を記憶の中で探っていると、唐突に股間付近に固いものが押し当てられてびくりと体が跳ねた。
驚いて顔だけ上げて下半身の方に視線を走らせると、そこには血管が浮き出るほどビンビンに反り立ったモンスターの一物があった。
「……え? えぇぇぇぇ!? なんで勃ってるんだよ!」
明らかに勃起しているそれに、恐怖も忘れて思わず勢いよく突っ込んだ。
待て待て待て! なんでこいつ勃ってんだ!? 食欲と性欲が連結してんのか!? というかなんで俺に欲情してんの!? 人間の、しかも男なんですけど!?
次々と湧いてくる色々な疑問が脳内を飛び交って混乱状態だったが、モンスターにそそり立つそれをズボンの上から押し当てられて、疑問の数々が一気に飛び散って消えた。
「ひ……ッ!」
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