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短い悲鳴を上げるが、モンスターがそんなことを気にするはずもなく、腰を振って固いそれをぐいぐいと押し付けてくる。
もしズボンを穿いていなかったら確実に俺の穴にそれはねじ込まれていただろう。そう思うとゾッとした。
ズボン越しに伝わってくる生々しい感触に、獣姦、というマニアックで俺には理解しがたい性癖であり、そして一生無縁だと思っていた言葉が脳裏によぎった。
いやいやいや! 待て待て待て!
俺は手違いで男にないはずの処女は失ったとはいえまだ童貞だぞ! 性的初心者だぞ!
そんな俺になんで次から次にマニアックな試練ばかり襲ってくるんだよ! ふざけんな!
あまりの理不尽さに恐怖を超えて怒りすら湧いてくる。
しかしもちろんビビりな俺がその怒りをモンスターに向けることなど出来るはずもなく、
「……ひっ!」
一際強く突かれただけで、再び心は恐怖に支配された。
モンスターが腰を振る度に先走りが俺のズボンにじわりと滲む。
その感触は気持ち悪く、ズボンで守られているとはいえ、一向に攻めの姿勢を崩さず迫ってくるグロテスクな気配に体がガタガタと震える。
けれど一方で、本当に不本意極まりないがアーロン達のせいで男のものを受け入れることに慣れてきたそこは、不覚にも物足りないとでも訴えるかのようにひっそりとひくついていていた。
く、くそ……っ! これも全部あいつらのせいだ! 絶対王都に戻ったら訴訟を起こしてやる!
もちろんこの世界に訴訟などがあるかは分からないが、そうでも考えていないとやってられなかった。
ぼたり、と頬を濡らすぬめった感触に、モンスターへの恐怖からいつの間にかアーロン達への恨みつらみに染まりつつあった俺の意識が、現実に戻された。
気付けば一心不乱に腰を振るモンスターの口からはヨダレがだらしなく垂れていて、腰を揺らす度に俺の顔に飛び散っていた。
ヨダレの臭いはさすが野生の獣というべきか、生臭いなどという言葉では言い尽くせないほどの臭さで、俺は顔を顰めた。
その臭いに、獣姦という言葉がさらに頭の中で存在感を増して、全身からサッと血の気が引いた。
「だ、誰か助けてくれー!」
無駄だと分かりつつも堪らず大声で叫ぶと、
「キャン……ッ!」
まるで犬のような可哀想な声を上げて、モンスターが俺の上から消えた。
消えた、というより飛んで行ったと言った方がいいだろう。
「助けてやったぜ、淫乱荷物持ち」
気付けば、鞘に入れたままの剣を肩に乗せたアーロンが得意げに口の端を上げてそこに立っていた。
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