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 そのあけすけな反応に、アーロンであれば馬鹿にするように笑い、男のプライドをズタズタにする言葉を浴びせかけていただろうが、ドゥーガルドは痛ましそうに眉根を寄せた。 「……よほど怖かったのだろうな。可哀想に。だがもう俺がいるから大丈夫だ」  そう言うと、おもむろに股間に顔をうずめて、俺のものにちゅ、ちゅ、と啄むようなキスをし始めた。 「なっ、ななななな、なにやってんだ、ドゥーガルド!」  さっきまでの常識人然とした言動が嘘のような行動に俺は目を見張った。  俺の問い掛けに、ドゥーガルドは股間に口元を寄せたまま目だけ俺の方を向いて答えた。 「……ソウシのこれが怯えているから宥めているだけだ」 「いや、現在進行形で怯えてますけど!」  近すぎて見えないのか!? すげぇ怯えきってるし、そもそも男のチンコが男のキスで宥められるわけないだろ! 恐怖でしかないわ! 「……大丈夫だ、愛情を込めて向き合えばすぐに心を開いてくれる」 「お前は飼育員か!」  小動物を愛でるような柔らかな目で俺のチンコを見詰めるのやめろ! 「とにかく、宥める必要ないから!」 「……ソウシは恥ずかしがり屋だな」 「恥ずかしがり屋とかそういう問題じゃない!」  外で股間さらして、さらにそこにキスされている状況が恥ずかしくない人間がいるなら逆に会ってみたいわ! 「……大丈夫だ、ここには俺達二人しかいない」 「いや、あっちにアーロンがいるからな!」  鞘に収めたままの剣で吹っ飛ばしたところを見ると恐らくドゥーガルドにアーロンを殺す気はないのだろう。  きっとあっちの藪の中で伸びているに違いない。  あいつが戻ってきた時にエロい空気になっていたら奴も便乗しかねないので、俺としては即刻この場を立ち去りたい。   「……じゃあ俺達の仲にあのクズが入る余地がないことを見せつけよう」  アーロンの名前になぜか火が着いたようで、ドゥーガルドは躊躇いを微塵も見せず、俺の汚れたものを口の中に咥え込んだ。 「あっ、や、やめろって……ン、ふ、あっ」  股間にうずまった頭を手でどかそうとするがびくともしない。  それどころか巧みに舌先を動かして、俺の手から抗いの力をどんどん奪っていく。 「ふ、あっ、ん、くぅ……ッ」  アーロンに手酷く痛めつけられたそこは絆されるように、優しさと労りに満ちた舌使いに呆気なく陥落した。  今さっきまでドゥーガルドを押し退けようとしていた手はいつの間にか縋り付くみたいに、ドゥーガルドの髪をぎゅっと握り締めていた。 「あ、ン、ふぁ、っ、あぁ……っ」  舌に撫でられ、包まれ、こねられる度にあられもない声が口から短く漏れ出た。  しばらくしてその刺激に慣れてきた頃、唐突にドゥーガルドが俺のものをちゅう、と強く吸った。 「っ、あぁ……ッ!」  今までと違う刺激の与え方に、腰がびくりと跳ねた。その反動を受けるようにして一際甘い声が口を衝いて出た。

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