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 俺は堪らず脚をぎゅっと閉じた。しかし股座にはドゥーガルドがいるため完全に閉じることは叶わない。  両側から俺の脚で頭を挟まれたドゥーガルドは、顔を上げてくすりと笑った。 「……ソウシ、大丈夫だ。脚で捕まえておかなくとも俺はソウシから離れたりしない」 「いやそういう意味でやったわけじゃない! 反射だ、反射!」 「……そうか、反射的な行動に出るくらい俺に離れて欲しくないのか」 「違う! 全然違う!」  どんだけポジティブな解釈なんだ! いっそ羨ましいくらいだ。 「……ソウシは本当に可愛いな」  うっとりと言って、ドゥーガルドは愛撫するみたいな甘やかさで腿の内側にちゅ、ちゅ、とキスを落とし始めた。 「ふ、っン、あ……っ」  キスと思わせて、時々悪戯のように皮膚を甘噛みして刺激に緩急をつけるのだからタチが悪い。  中途半端に快感を高められたまま放置された俺のものが、すぐ隣の腿で繰り広げられる柔らかな愛撫を羨むように浅ましく震える。  さっきまでやめろと言っていた手前言いにくいが、フェラの続きを早くして欲しくてたまらなかった。  そんなもどかしいキスじゃなくて、心臓を抉るような苛烈な快感が欲しいと胸がみだりがましく騒ぐ。 「っん……、ドゥーガルドぉ……」  だめだだめだと思いつつ、媚びるような声が抑えられなかった。  俺の呼び掛けにドゥーガルドが顔を上げた。 「……どうした?」 「あ、あの……」  訊き返されて目を伏せ口ごもった。  本当は呼び掛けたことで察して欲しいと思っていたが、真面目でこの間まで俺と同じく童貞だったドゥーガルドには無理な話のようだ。  アーロンみたいに追い詰めて無理やり言わせるやり方も嫌だが、こうして自分の意思で言わざるを得ないというのもなかなかに屈辱的だ。  いっそ自分の手で扱こうかと思ったが、人の口に含まれる蕩けるような快感を知ってしまった今、自分の手では満足できないことは容易に想像できた。  さっきまで咥え込まれていた快感がありありと蘇って下半身がじんじんと疼く。淫らな期待を滲ませて吐く息が震えた。 「――めて、くれ」 「……ん?」  俺がボソボソと呟くと、ドゥーガルドが首を傾げた。  わざとなんじゃないかというくらいの鈍感さに焦れったさがさらに募って、半分自棄になって大きく口を開けた。 「だからっ、キスばっかしてねぇで、な、舐めてって言ってんだよ! そのくらい分かれよっ、バカっ!」  八つ当たり混じりに勢いよく言ったが、目を丸くして固まったドゥーガルドを見て自分が口にしたことの恥ずかしさに気づき、後悔が胸に押し寄せてきた。  顔中が熱くて真っ赤になっていることは明らかだった。  それが恥ずかしくて顔を背けて腕を目元に当てていると、唐突に地面に押し倒された。

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