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「痛っ、なにすんだ……ッ」  急に乱暴に扱われ抗議をしようとしたその言葉はいつの間にか俺の上に覆い被さってきたドゥーガルドの顔を見て引っ込んだ。 「……ソウシ、そんな可愛いことを言われたら、舐めるだけじゃおさまらない」  フーッ、フーッ、と熱を帯びた荒い息を繰り出す様子はさながら発情した獣そのもので……。  さっきの既視感はお前かーっ!  というか冒険パーティーの半数が発情した獣を彷彿とさせるってどんな地獄のメンバーだよ!  改めて、自分がいるパーティーの異常さに気づいて頭を抱えた。 「……しばらくソウシとしてない。もう我慢の限界だ」  はぁはぁ、と劣情をありありと含んだ吐息で肌を湿らせながらドゥーガルドは顔中にキスの雨を降らせた。 「わっ、ちょっ、やめろって……!」  何とかキスの雨から逃れようと体を捩る。  しかしその度に、ズボンの布地が張り詰めるほど立ち上がったドゥーガルドの先端が俺の腹に触れて、ぞわりと鳥肌が立った。  これは嫌な流れだ。キスで甘い雰囲気を作ってセックスに持ち込もうとしているに違いない。  乙女じゃあるまいし甘い雰囲気なんかに流れるもんか! と思う一方、放置された俺の息子については、流されないと断言できなかった。  というか、若干流されつつある。自分の息子ながら情けない……。  発情した犬がダラダラとヨダレを垂らすように先走りを溢れさせる自分の息子に失望していると、その意識の渦中にあった息子が不意に掴まれた。 「ひぁ……っ」  あまりにも突然のことで思わず短い悲鳴を上げた。  しかし、ドゥーガルドの手は決して乱暴なものではなく、むしろ手の平で包み込むような優しい力だった。  だが、しばらく放置されていたそれにとっては、その柔らかな感触さえ刺激的で、知らず腰がびくびくと歓喜に打ち震えた。 「……すまない、こっちがまだだったな」 「ぅあ、っ、ン、は……」  親指でクリクリと先端をこねくり回され、絶頂には至らないものの鮮烈で断続的な快感に甘い喘ぎが口から絶え間なく溢れ出る。  さっきまで流されるものかと意気込んでいた自分など欠片も残っていなかった。 「……ソウシのこれが気持ちよくなったら、次は俺の番、でいいか?」  決して打算や下心が入り組んだ強制的な問い掛けではなかった。  興奮は滲んでいるものの、あくまで俺の意志を尊重する穏やかな物言いだった。そして俺は、ドゥーガルドの番の時、自分がどんな目に遭うかよく分かっていた。  けれど頭の中は気持ちよさでとろとろに溶けていて、俺はその先をせがむようにこくこくと頷いた。  その様子にドゥーガルドは愛おしげに目をうっとりと細めた。

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