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 股を開き地面すれすれの所まで腰を上げているその姿勢のせいで、肉に隠れていた孔が冷たい夜気にさらされ、ぞわぞわと腰骨の辺りに鳥肌が立った。 「なっ、なんだよっ、これ!」 「なにって、お座りだ。ソウシが私に教えてくれたじゃないか。ああ、褒めてやるのを忘れていたな。よしよし」  目元をしなわせて、いつかの俺がしていたように顎をゆったりと撫でる。  屈辱と羞恥で腹の底が焦げそうだった。 「やめろよっ、なんでこんなことさせるんだよ……っ」  目尻に涙を滲ませながら訴えかけるが、クロは楽しそうに笑んだまま答えた。 「こうした方が咥えやすいと思ってな」  何を、と訊き返す前にクロが下の布を取り去り自身のモノを恥ずかしげもなくさらした。太く赤黒いそれに俺は息を呑んだ。  それを見て、次の言葉が分からないほど俺も馬鹿じゃない。 「――さぁソウシ、咥えて」  予想通りの言葉に、心の底から拒絶の意思が込み上げてくるのに、俺は喉を反らしてまで首を伸ばしてクロのモノをぱくりと咥えた。  クロの腰が高いため先っぽだけ、ちゅう、ちゅう、と口の先で吸い付く。  「ふふっ、まるで乳を飲む赤子のようだな」  赤ん坊を見詰める母親のような慈愛溢れる目で見下ろしながら、仰け反る喉を指先でつつ、となぞる。  それだけで、首筋から下半身にかけて疚しく甘い痺れが走った。 「これから母となるのに乳離れできないとは困ったものだなぁ」  慈しみを含んだ呆れ声で言うクロの言葉に、俺は悔しさで目が熱くなった。  好き好んで咥えているわけじゃないし、できることならすぐにでも吐き出したい。  なのに実際は、クロの言うように赤ん坊のように浅ましいく吸い付いるのだから、屈辱を超えてただただ情けない気持ちでいっぱいだった。 「でもそんな咥え方じゃ、いつまでたっても欲しいミルクは出ないぞ。――お座りをやめていい、もっと喉の奥まで咥えなさい」  恩着せがましいまでの優しい声でクロが言った。  その命令に俺の意思を介することなく勝手に体が動く。膝立ちになって腰を掴みクロのモノをさらに口の奥へと咥え込んだ。 「っぐ、ン……っ」  太く大きいそれを喉まで押し込めるのは苦しかったが、服従の輪の力が機械のように淡々と命令を遂行させる。 「よく頑張ったな、よしよし」  苦しげに鼻で息する俺の頭をクロが優しく撫でる。  屈辱的でしかないのに、感覚が麻痺してきているのか、それとも苦しいせいかその優しい手つきに少しだけ心地よさを覚える自分がいた。

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