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「でも咥えてるだけじゃ何も出ないぞ。舌と喉を使って、ほら、頑張って」
かりかり、と爪の先で喉を柔く引っ掻かれる。それだけで胸元がぞわぞわと震えた。
俺は舌先で裏筋を舐め、奥では先端を喉の手前できゅうきゅうと締め付けた。
「ん……っ、上手だ、ソウシ」
クロは艶の色を深めた声で褒めると、俺の耳をくにくにと揉んだ。
「っ、ふ……」
無骨な指で耳を揉みしだかれるのは存外に気持ちのいいものだった。
しゃぶる口の動きに合わせて耳を揉む力に強弱が付けられるので、気付けば俺は無心で舌を動かしていた。
少しずつ与えられる快感に頭がぼんやりして、今まで飼い犬のように可愛がっていた男のモノを咥えているこの異常な状況に忌避と嫌悪の念を抱いていた正常さが、少しずつ崩れていくのを感じた。
俺の正常さが失われつつあるというのに、口の中に含んだクロのモノはどんどん熱と容積を増していった。
このまま口の中に出されるかと思ったが、
「ソウシ、口を離していいぞ」
クロの一言に、俺は驚きつつもクロのモノから口を離した。
ようやく自由になった口で胸を上下させながら息をする。解放されたというのに、口の中は少し物足りなさを感じてしまっていた。
そんな俺を見てクロがくすりと笑った。
「そんな寂しそうな顔をするな」
すっかり熱くなった俺の頬を右手でするりと撫で、その指先で耳の裏をくすぐった。クロの手は無骨なのに、柔らかな気持ちよさを与えるのがずるいほど上手かった。
「ソウシは赤子じゃないから口より他の所で飲みたいだろうと思ってな。――ソウシ、こっちにお尻を向けて伏せをしなさい」
耳の裏をくすぐる手と似た柔らかな心地良さを持った声で命令する。
クロが何をしようとしているかは明らかだ。なのに、何の抵抗なく言葉に従ってしまう。
それは服従の輪だけでは説明のつかないほど滑らかな動きだった。
「うん、いい子だ。でももう少し腰をあげてくれ」
穏やかな声に言われるがまま、顔を地面に押し付け腰を突き上げる。地面が近くなって、土と草の匂いが一層強く香った。
わき腹から腰にかけての線がふるふると震えている。その震えが屈辱なのか期待なのか、自分でも分からなかった。
そんな俺にクロは満足そうに目を細め、近くに咲いた青い花を四、五本手折った。その茎からとろとろと零れる蜜を指先に垂らす。
そして密で濡れた指を窄まりの中へぐぷりと沈ませた。
「……ッ、は、ぁう……っ」
そのまま中を指先でぐちゅぐちゅと掻き回され、甘い声が短く零れた。このままいけば本当に孕まされるかもしれないというのに、アーロンやドゥーガルドに散々犯されたせいで、そこに他人の熱を受け入れるとどれだけ気持ちよくなるかを嫌というほど知っている体がじくじくと疼き始める。
窄まりが媚びるようにヒクヒクとクロの指に吸い付く。
「なんだ、もう欲しいのか。でもちゃんとならさないとソウシが辛いからな。もう少し我慢だ」
気遣わしげに言って腰を優しく撫でさする。
その優しさは疚しい期待が膨れ上がった体には毒でしかなかった。
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