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「は、っく……ッ、ふ」
二本、三本、とゆっくり丁寧にほぐし増えていく指の数に、俺の頭は焦れったさでどうにかなりそうだった。
「……そろそろいいか」
ぐちゅぐちゅと増えた指の数だけ密度を増す水音に鼓膜が溺れて意識が遠のいていたが、その独り言のような呟きは聞き逃さなかった。
もう隠すことなく期待をありありと込めて見上げると、クロは愛おしげに目を細めて指を窄まりから抜き、背中に覆い被さった。そして首筋や耳元に軽やかなキスをした。
「そんな可愛い顔で見て、随分と最初と反応が違うな」
耳朶に吹きかけるようにクスクスと笑いながら囁く。
「気持ちが変わったのか。……私の子を作る気になったか」
少し声を弾ませて嬉しそうに問うクロの言葉に、俺は慌てて首を横に振った。
どんなに快感に流されていてもこの問いだけは絶対頷いてはいけないと、わずかに残った欠片のような理性が訴える。
「……そうか、それは残念だ。でもまだ夜が明けるまでたっぷり時間がある。それまでに答えを出せばいい」
残念だと言いつつも、その声には必ず俺を頷かせてみせるという自信と余裕が感じられた。
夜明けまで、果たして自分は快感に流されて安易な約束をせずにいられるだろうか……。
じくじくと疼く熱を体の奥に抱え持つ今の俺にはその自信がなく、だからクロの余裕が恐かった。
「とりあえず、子を作るかどうかは後にして先にソウシを気持ちよくしないとな」
「ふ、っあ……」
窄まりの周りを焦らすみたいに指先でするりと撫でられ、思わず切ない声が零れた。それが面白かったのか、ひくつく孔の手前を爪の先で柔く引っ掻き続けた。
かりかりかりかり……、と爪先で皮膚を擦る淡い感覚が幾重にも重なって身悶えするほどの焦れったさになる。
「っ、く、クロぉ……、は、はやく、……ぃ、いれてぇ……ッ」
堪らなくなりついに涙声で懇願すると、クロは喉の奥で笑った。
「子は作りたくないのに雄は欲しいのか。随分淫乱なんだな、ソウシは」
楽しそうに蔑みの言葉を吐いて、弄ぶように引っ掻いていた指を窄まりから引いた。
そしてそこに固く屹立した先端をひたりとあてた。待ちわびていたものがようやくあてがわれ、それだけで歓喜するように体に甘い痺れが走る。
ぬち、ぬち、とゆっくり窄まりの奥へと押し進む固く熱い欲望に、我慢した分以上の快感で頭がくらくらした。
「っ、ふ、ぁう……ン」
根元まで咥え込んで苦しいのに、淫らな期待に胸が甘く高鳴る。
はやく……、はやく、ガンガンに突いて欲しい……っ!
奥に穿たれる激しい刺激を想像しただけで、窄まりがきゅっと締まった。それに気付いたクロがくすりと笑った。
「今、いやらしいことを考えたか?」
尾てい骨の辺りをすす、と指先で撫でる。それだけでびくっと体が跳ねた。
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