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「え? な、なにこれ……っは、あぁ……ッ」  奥まで押し込められたモノが急に引かれ、窄まりの浅い部分をぐちゅぐちゅと掻き回される。 「ぅあ、ああっ、や、ぇて……っ」  絶頂に至らない淡い快感に埋め尽くされ身悶えする。  一番気持ちいい部分の手前ばかりを愛撫され、腹の奥がきゅう、と切なくなった。気付けば奥へ誘い込むように緩く腰を振っていた。 「ぉ、おく……っ、もっと、ン、おくが、いぃよぉ……ッ」 「随分積極的になったな。いい傾向だ」  クロは愛おしそうに目を細めて、汗ばんだ俺の額を優しく撫でた。  全身が性感帯のように敏感になっていた俺は、慈しむようなその手つきにすらびくびくと体を震わせた。 「ソウシはたくさん我慢した方が気持ちよくなれるようだからもっと焦らそうかと思ったが、そんなに可愛くねだられては私も我慢ができないな」  そう言うと、俺のモノをから手を離し、両手で腰を抱え一気に奥を突き上げた。 「あっ、ぐ、ぁあ……ッ!」  何度も何度も強く体を揺さぶられ、繋がった部分から溢れる水音が激しくなる。 「ぁ、ア、あぁっ、ンんっ、ひぁぁ……っ!」  思った以上に凶猛な攻め立てに俺は、喉が張り裂けそうなほど大きな声で喘いだ。そんな俺に構うことなく、クロは律動をさらに速めた。 「ぁ、あっ、くぅ、ああっ、ひぁ……ッ!」  ずん、と一層深く貫かれた瞬間、奥に熱を放たれた。その勢いよく奥へ注がれる熱液に、堪らず俺も絶頂を迎えた。  息は熱を孕んで乱れ、腰は甘く震える。一方俺のモノはピクピクと引き攣って絶頂の余韻に打ち震えているものの、先っぽから漏れ出ているのは相変わらず透明な液体だけだった。   「ふふっ、いっぱいナカでイったな、えらいぞ」  クロが艶を帯びた声で言って、俺の腹に撒き散らされた透明の液を指先でぬるりと肌にすりつけるように広げた。  過敏な下腹部を卑猥なぬめりでもって撫でられ、腹の奥がまた疼き始めた。  気付けばクロのモノを無意識に甘えるように締め付けていた。  しかしクロは無言で妖艶に微笑んで、俺の中から自分のモノを抜いた。 「ン、ぁ……っ」  どろり、と窄まりから溢れるクロの精液にすら感じて甘い声を漏らすと、クロがくすくすと声を立てて笑った。 「ソウシは思った以上に子作りの才能があるようだな。私は嬉しいぞ」  上機嫌で言いながら、クロは放りっぱなしになっていた鎖をおもむろに手に取った。  そして、 「――ソウシ、ちんちん」  愉しそうに目をしなわせて命令してきた。  その目に今まで快感の底に埋められていた羞恥が急に戻ってきて、顔が赤くなった。 「っ、ぁ、ぃやだ……」  弱々しく首を振るが、もちろん体が言うことをきいてくれるはずがなく、膝立ちになって腰を前に突き出してしまう。  てらてらと透明な液を纏った自分のモノを、クロがあぐらを組んで肘をつきじっと見詰める。  あまり人に見られたいものではないし、クロのモノに比べるとひどく貧相である自覚もあるので、羞恥に加え劣等感までが惨めさに拍車を掛ける。

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