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第13話 仲間とは……
俺は無我夢中で走った。
元の場所に戻ると、ドゥーガルドの激戦をよそに三人とも大きな木の下でぐったりと寝そべっていた。
本当にこれからこいつらに助けを求めていいのかと不安になるほどだらりと。
俺は助けを請うというよりも活を入れる意味合いで叫んだ。
「みんな! 寝てる場合じゃない! 向こうにモンスターが現れたんだ! 今ドゥーガルドが相手してるけどかなり苦戦してるんだ!」
「ドゥーガルドが~……?」
チェルノがのっそりと上半身を起こした。
「それはかなり手強そうだね~。面倒だな~」
「無理しなくていいよ。チェルノがケガでもしたら大変だ。ほら、僕が腕枕してあげるからまだ寝ていなよ」
「うるせぇもげてしまえそんな腕。ん~っと、それじゃあ助けに行かなきゃね~」
「ふふ、チェルノは本当に照れ屋なんだから」
ひと伸びするとチェルノはようやく立ち上がった。
ジェラルドも、辛辣な言葉を向けられた人間のものとは思えない爽やかな笑みを浮かべたまま起き上がった。
メンタル強いな……!
つーか、こんな緊急事態になぜみんなのんびり!?
俺の伝え方が悪いのか!?
仲間のピンチを伝えてもこのマイペースさ。
ある意味、見習いたいくらいだ。
「じゃあサッサと始末しといてくれ。俺はここでまだ体力回復しとくから」
「嘘だろ!?」
寝返りを打って俺たちに背を向けてヒラヒラと手を振るアーロンに俺は思わず叫んだ。
どんだけクズ!?
どんだけマイペース!?
もういっそ一人で旅しろと言いたくなるほどの協調性と情のなさだ。
「仲間のピンチに駆けつけないってお前、どんだけクズなんだ!」
「うるせぇな。みんなで行っても無駄に体力消費するだけだろう。もしまたすぐにモンスターが現れたらどうする? 一人は体力温存しておいた方が効率的だろ」
「出たよ! お前のそういう正論っぽいこと言って自分のなまけを正当化するところ!」
「正論っぽいじゃない。正論だ」
石のように動かないアーロンに歯噛みしていると、去り際のドゥーガルドの言葉を思い出した。
俺は一か八かその言葉を口にしてみた。
「……へぇ、じゃあ留守番でいいんだな。あ~あ~せっかく金になりそうなモンスターだってドゥーガルドが言っていたのに」
金という言葉に反応してアーロンが素早く振り返った。
「は!? 今何て言った!」
「え……だから金になりそうなモンスターだって……」
「それを早く言え!」
露骨な食いつき具合に引いている俺など気にせず、アーロンは俊敏に立ち上がった。
「よし、みんな行くぞ! トロトロするな! 走れ!」
さっきまで寝転がっていたのが嘘のように先陣を切って走り出すアーロンに俺はもはや溜め息を吐く力すら失っていた。
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