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第27話 男達の仁義なき戦い
ドゥーガルドの右手には鞘に納めたままの剣が握られている。
どうやらドゥーガルドが剣でアーロンを吹き飛ばしたようだ。
「……アーロンっ、よくも嫌がるソウシによくも……っ!」
アーロンが吹き飛んでいった闇を睨む目は、いつもの湖畔のような穏やかなものではなく、怒りで燃え上がっていた。
こ、こわい……!
今まで見たことのない怒りの表情に怯えていると、ドゥーガルドがこちらに目を向けた。
「……ソウシ、大丈夫か」
俺の前に屈んでドゥーガルドが訊いてきた。
心配そうに、そして憐れむように俺の汚れた体に視線を落とす。
「……ソウシがいなくなっていたから心配で探しにきたんだが……クソッ、こんなことになるなら無理矢理にでも俺のテントに寝かせるべきだった」
ドゥーガルドは自分の腿を苛立たしげに拳で殴った。
こんなにも心配してくれているのに、媚薬で快感の虜となった俺はじっとドゥーガルドの股間を見つめていた。
そういえば、ドゥーガルドの大きかったなぁ……。
気づけばドゥーガルドの手をぎゅっと握っていた。
「どぅーがるど……」
じっとドゥーガルドの目を見つめる。
「……どうした? こわかったのか? もう大丈夫だ俺が傍に……」
「どぅーがるど、おれにどぅーがるどの大きいのいれてっ」
「……え?」
戸惑うドゥーガルドの膝に手を置いて、ズイと顔を近づけた。
「……ソ、ソウシ?」
「おれ、どぅーがるどのほしいっ。いれたい。……だめ?」
ごくりとドゥーガルドの喉が動いた。
それを了承と解釈した俺は、ズボンに手を伸ばしドゥーガルドのモノを取り出した。
そしてそれを何の躊躇いもなく口に含んだ。
「……ソ、ソウシ!?」
混乱しきった声でドゥーガルドが叫んだ。
けれど、俺は口を離さなかった。
ドクドクとドゥーガルドの脈動が口の中に響いて、興奮した。
その脈動をなだめるように、あるいは煽るように舌で撫で続ける。
大きくなったこれを下に突っ込んでもらえると思うと、下半身から歓喜の疼きがわきあがった。
裏筋を一層強く舌先で抉ると、弾けるようにドゥーガルドのモノが吐精した。
ドゥーガルドが慌てて俺の口から自身のモノを抜き取った。
「……っ、す、すまない! 我を忘れてつい……。だ、大丈夫か?」
不安そうに顔をのぞくドゥーガルドに、俺はへらりと口元を緩めた。
「だいじょーぶだよ、どぅーがるどのおいしかった」
「……っ、ソウシ!」
感極まった声でそう叫ぶと、ドゥーガルドは俺を地面に押し倒した。
そして唇を押しつけるようにして性急なキスをしてきた。
「……俺のもので汚してしまった。きれいにしなければ」
「んっ、ふぅ……」
ドゥーガルドは舌を口の中に差し込んで、咥内を舐め上げるようにして動かした。
そのたびにぐじゅぐじゅと混ざりあう互いの唾液の動きにさえ下半身が疼いた。
「……っん、どぅーがるど」
「……どうした?」
何でも願いを叶えてくれそうな笑みを浮かべてドゥーガルドが頬を撫でた。
もう我慢の限界だ……っ!
俺は頬を撫でるドゥーガルドの手を掴むとそれを自分の下半身まで引いた。
「こ、ここっ、ここにどぅーがるどの入れて……っ。おれ、もう待てないよぉ……」
体中を痺れさせる焦れったさに、泣き出しそうになりながら俺は懇願した。
ドゥーガルドの喉がゴクリと鳴った。
こちらを見下ろす瞳や荒らい吐息に興奮の熱が滲んでいる。
もう一押しとばかりに、ドゥーガルドの手を下半身に押しつけると、びくりとドゥーガルドの手が震えた。
その振動にすら俺はイキそうだった。
この刺激がもっと奥にきたら……と思うと疚しい期待だけであえぎ声がこぼれた。
「……ソウシ」
ドゥーガルドの手が自ら動いた。
やった、入れてもらえる……ーー!
そんな狂った喜びで胸を高鳴らせていると、
「……っ、テメェ何してやがる!」
俺に跨っていたドゥーガルドが強烈な蹴りとともに吹き飛んだ。
「ア、アーロン!?」
あまりの衝撃に媚薬でとろとろになった頭が正気を取り戻した。
さっきドゥーガルドに吹き飛ばされたアーロンがいつの間にか復活していた。
一方のドゥーガルドも受け身をとっていたのかすぐに立ち上がった。
「……なにをする。この強姦魔め」
ギロリと殺意めいた視線をアーロンに向ける。
「今まさにヤろうとしていた奴に強姦魔呼ばわりされる筋合いないわ!」
「……俺はお前と違う。ソウシに求められたのだ」
ドゥーガルドは少し得意げな笑みを浮かべた。
それをアーロンが鼻で笑った。
「ハッ! おめでたい奴だな。今のそいつは俺が直々に調教して淫乱メス犬状態なんだよ。チンコがついてりゃあ誰でもいいんだよ」
「……じゃあ世界中の男のそれを切り落とせば問題ない。手始めにまず貴様のその下品なものを切り落としてやろう」
剣呑な空気を醸しながらドゥーガルドが剣を抜いた。
「返り討ちにして、テメェのナニをテメェのケツに突っ込んでやるよ」
下品で不敵な笑みを口元に浮かべて、アーロンも剣を構えた。
……な、何なんだこの戦いは!?
魔王を倒そうと集った勇者と剣士がなぜにこんなくだらない理由で争う!?
だが、当の本人たちは至極真面目な顔だから突っ込めない。
俺が狼狽えているのもお構いなしに二人はすでに剣を交えていた。
真剣のぶつかり合いが耳に痛いほど響く。
ど、どうしよう……!
まさか決着がつくまで待っているわけにいかない。
チェルノたちを呼びに行くため立ち上がろうした時、
「ちょっとぉ~、何してるの~?」
ガサガサと動いた茂みから、ランプを持ったチェルノが現れた。
普段通り目が笑っていない変な笑みを浮かべていたチェルノだったが、俺の姿を見るとその顔が強ばった。
持っていたランプがゴトリと音を立てて地面に落ちた。
「……いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ」
唇を小さく震わせながらぶつぶつと呟くチェルノに嫌な予感がした。
これってもしかして……!
嫌な予感は大概的中するものだ。
チェルノの体から突風と目映い光が放たれた。
淫食花の時と同じ、いやそれとは比べものにならないほどの突風だった。
木々が轟々とうねりを上げ、俺たちは散り散りに吹き飛ばされてしまった。
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