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第31話 余裕綽々、魔獄島
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船の上では、予想通り鳥型のモンスターに襲われたり、敵の襲撃にも合ったりしたが、あっさりアーロンたちが撃退してしまい、予想に反して早く魔獄島にたどり着くことができた。
島は薄暗く鋭い岩ばかりで、草一本生えていない殺風景なものだった。
島に着いてからも、モンスターたちがうじゃうじゃとどこからともなく現れて襲ってきたが、みんな気持ちいいくらいの爽快さで倒していった。
俺はというと、チェルノがくれた護符の決界に守られながら、荷物を抱きかかえることしかできなかった。
まぁ、見方によれば身を挺して荷物を守っているともいえるよね!
自分の役立たなさをポジティブに変換していると、やがて魔王の城らしき建物の前についた。
冷たい石畳でできていて、静かな闇を湛えるその城はできれば近づきたくないもので、俺は生唾を飲み込んだ。
しかし、他の四人は恐怖を感じる神経が死んでいるのか、さっさと中に入ってしまった。
「ちょ、ちょっと! 待てよ!」
慌ててみんなのあとを追いかけようとして、つまずいて転んでしまった。
「なにしてんだよ、本当にお前はマヌケだな」
アーロンが溜め息を吐きながら、手を差し出した。
「……マヌケで悪かったな」
俺はその手を握って立ち上がった。
おどろおどろしい城の雰囲気は怖かったが、でもそれに全く怯む様子のない四人に、俺は呆れながらも内心ほっとしていた。
この調子なら、魔王もさっさと倒してしまうかもしれない、と。
そんな甘い考えは裏切られることになるとも知らずに……。
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