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△5.lovesick
「あ、オレも手伝うよ。一人で大変だろ?」
「だが日直の仕事があるだろう?」
「うん、でも日誌を書けば終わりだし、今ちょうど書き終えたとこだから」
「ならば尚のこと俺に構う暇なんてないだろう。桜庭に会いたいんじゃないか?」
「えっと、でもオレは真木を手伝いたい。真木はオレが邪魔?」
……うう。桜庭が好きっていう設定、自分で言っておきながら忘れそうになるぜ。まさか真木に近づくためについた嘘だなんて言えないし。
ここはとにかく誤魔化す必要がある。こうなったらお人好しのフリをして真木の仕事を手伝おう。
すべては好きな人と一緒にいるためだ。
少しばかりズキズキと痛む良心にフタをして……。
「いや、そういうわけではないが。お前は大概のお人好しだな。助かるよ」
あ、真木の口唇の端が上がった。
眼差しもずっと優しくなってる。
真木の表情ひとつでこんなにも幸せな気持ちになるなんて、オレってばすっげぇ単純だ。
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