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 ……寒い。  カラカラに乾燥した空気をまとった風はオレの体温を奪っていく。季節はもうすぐ春を迎えるっていうのに、まだ雲は分厚く、空は遠く感じる。  鋭い視線の数々を背中に受けながら、オレは桜庭と一緒に吹きさらしの渡り廊下へとやって来た。  外はこんなに寒い。周囲には流石に人気がない。ここはオレと桜庭の貸し切り状態だった。 「小枝さあ、真木のことが好きだよね」  突然桜庭の口をついて出た。 「…………」  率直に尋ねられて一度は口を開けたものの、オレは何と言えばいいのかわからず、また口を閉ざしてしまった。  ――とはいえ、今さら隠しても無駄だろう。なにせ桜庭は真木の親友として近くにいた。真木にべったり張り付いていたオレの気持ちなんてきっとバレバレだろう。 「うん」  オレはややあって静かに口を開いた。  桜庭の質問に対して肯定した、たった二文字の言葉はとても頼りなくて横殴りの風に吹き飛ばされそうなほど不安定だ。

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