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△3.Graduation
真木の胸元。第二ボタンだけ千切られて何もない。
嘘だろう? 最後の最後までこんな調子。
意味なんてすぐに理解できる。
真木にはすでに恋人がいたんだ。
だって真木はとても優しい。ちょっと考えればすぐにわかる。
「も、やだ」
苦しくて、悲しくて。感情は堰を切る。もうすぐ大学生にもなるのにみっともなく泣きじゃくる。
それくらい、オレにとって真木は大切な人だったんだ。
「おい、ちょっと待て。落ち着け!」
「落ち着けないよ! だってこれからオレは振られるのにっ!」
ブンブンと首を振れば、大粒の涙が散る。
「勇気!」
真木に呼ばれたのはオレの名前。
同時に唇が弾力のある何かに塞がれた。
どうして離れ際にリップ音がしたのだろう。
意味わかんない。
びっくりしたオレは泣くのを止めて瞬きすると、真剣な真木の顔が目の前にあった。
なに?
何をされたの?
オレは放心状態。
自分の身に何が起こったのかわからなくて、ただただ瞬きを繰り返していると、
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