6 / 31

誕生日に振り回される

 クラスの奴は俺を不良扱いし遠巻きにする。  教室は居心地が悪くて一人で昼は屋上で弁当を食べていたのだが、同じクラスの神野に話しかけられ、おかずを全部食べられてしまった。それ以来、俺の作った弁当が目的で一緒に食べるようになっていた。  楽しく会話をしながらランチタイム、なんて事は無い。  俺の方から話を振る事は無いので、神野が一方的に話をするくらいだ。  だが、今日はなんだかソワソワするだけで話しをしはじめない。俺は無視して弁当を食べる。 「ちょっと、どうしたのとか聞いてくれないの?」  と肩を掴まれ揺さぶられる。食事中にやめてくれ。  弁当をわきに置き、 「鬱陶しい」  とその手を払う。 「葉月ぃ、聞いてよ」  顔を近づけられて、後ろへと反らす。  すげぇ、ウザイ。  このままでは食事にならないので、 「で?」  一先ず聞いてやるぞという態度をとると、嬉しそうな表情を浮かべて話し始める。 「俺さ、今日、誕生日なんだよね」 「あ、そう。それはおめでとさん」   心がまったくこもっていないお祝いの言葉を口にする。  俺と神野は友達ではない。故に誕生日なんてどうでもいい。 「えぇ、それだけ! プレゼントは?」  おかずを全部食べられてしまうから、仕方なく神野の分も弁当を作ってやっている。それなのにプレゼントを強請るなんて、図々しいにも程がある。 「それ」   食べている弁当を指差せば、これはこれと言われてしまう。 「はぁ? ふざけ……」 「ね、俺の家でケーキ焼いてよ」  言葉をさえぎられてムッとする。 「冗談じゃねぇ」  そこまでしてやる理由がないし、家の事をしなければいけないので忙しい。 「じゃぁ、葉月の所でイイや。決まり」 「はぁ、何勝手な事いってんだよ」  俺ン家でイイとか勝手に決めるな。   迷惑だから来るなと言って、昼休みのやり取りは終わったのだが、 「葉月、帰ろう」  俺の席まで来て言うものだから、周りの奴等がざわついた。

ともだちにシェアしよう!