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つながる想い_3
帰りに委員長の尾沢 に話しかけられた。
同じクラスになって、はじめから俺に話しかけてきたのは尾沢だけだったので名前も憶えていた。
「今日、昼に御坂がお弁当のおかずを食べたそうだね」
「あぁ」
「そこに聖人もいたんだって?」
尾沢が神野を名前の方で呼ぶような仲だとは知らなかった。教室で話している姿は見たことがあるが、つるんでいるようには見えなかったからだ。
「勝手にいるだけだ」
「お弁当、作ってあげているんだ」
あまりクラスの奴等に知られたくない。それ故に返事がそっけないものになる。
「どうでもいいだろ」
「葉月、事情を知っているんでしょ?」
「あぁ」
「慧の事は聞いた?」
御坂の事もか。しかも抱えている事情も知っているようだし、彼ら三人は何でも話し合える友達なのだろう。
「食うのは珍しいって」
「そうなんだ。俺の家族が作った物しか食べられないと思ってたのに」
何か言いたげな目をしている。だが、これ以上は聞く気はない。俺には関わり合いの無い事だから。
「まて、尾沢。詳しい事情は話さなくていい」
「……そうだな」
聞きたくないという俺の気持ちを感じ取ったようで、それで話はおしまいという流れになったのだが、
「何を話しているの」
と神野が話に割り込んでくる。
「慧の事だ」
再び御坂の話になりそうな雰囲気となり、
「俺には関係ねぇよな、それ」
そうキッパリと口にする。これ以上、俺を巻き込むな。神野のようになるのはごめんだ。
「葉月」
「俺はお前等の友達じゃねぇ。だからこれ以上の厄介事はごめんだ」
聞きたくないとばかりに鞄を手にし教室を出た。
※※※
同情なんかして弁当を作ってやったりしたものだから神野も調子に乗るのだ。
「あれ、今日は神野さん、お休みなの?」
弁当が一つ足りないからだろう。神野の分の弁当を作っていることは透も知っていた。
「良いんだ。ほら、さっさと行けよ」
バスの時間にはまだ余裕があるが、これ以上聞かれるのが嫌で追い出すように玄関へと向かう。
「うん。行ってきます」
出ていく姿を見てホッとする。
だが直ぐにドアが開き透が顔をのぞかせた。
「なんだ、忘れ物か?」
「うんん。神野さん」
「何っ」
透の後ろからひょっこりと顔を出した。
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