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つながる想い_8

 それから暫くの間、黙々と食事をしていたが、スプーンを置いて、 「許して欲しい」  と頭を下げた。  そう簡単に許されると思ったら大間違いだ。 「後で洗い物な。買い物も付き合えよ。重たいもん買うから」 「うん」 「後、なんとなくでああいう事をするな」 「本気でしたいと思ったら、していいの?」  まさかそう返ってくるのか。 「何を言って」 「拒まれてからずっと葉月の事を考えていた。で、答えに辿りついた」  嫌な予感しかしない。 「お前がす……、むぐ」  言わせまいと口を手でふさいでとめれば、ジト目を向けつつ手を引きはがされた。 「酷い、俺の告白を」 「からかうのもいい加減にしろよ」  女子にモテるくせに、よりによって俺なんかに惚れるなんてありえない。 「からかってなんてないよ。見た目の中身のギャップがさたまらないっていうか」 「お前のなんて、これっぽっちも思ってねぇから」  指でサイズを示してみせれば、 「それくらいしか思われていなくても君は優しいよね」  眩しすぎる笑顔で返される。直視できなくて顔を背けようとすれば、神野の手が頬を包むように触れる。 「葉月の傍にいると心が満たされるよ」  額がくっつきあって、あまりの顔の近さに鼓動が跳ね上がる。 「お、俺は、好きじゃねぇ」  近けぇよと神野の胸を押して逃れると今度こそ顔を背けた。 「今はそれでも良い。俺が頑張ればいいだけの事だから」  惚れさせるから、と、耳元で囁かれて。ぶわっと熱がこみ上げた。 「ふぁっ」  俺は目を見開きながら囁かれた方の耳を手で覆う。  その反応に楽しそうに笑い、 「さ、買い物に行こうか」  とエコバッグと財布を手にする。 「え、あ」  我に返り神野を見れば、いつもよりキラキラとしていて、目の錯覚と擦る。  うん、いつもの憎たらしい神野だ。 「葉月」  立ったまま神野を見ている俺に痺れを切らしたか、再度呼ばれて「今行くよ」と靴を履いた。

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