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つながる想い_9

 買い物を済ませて家へと帰れば、透がリビングでテレビゲームをしていた。  塾に行くまでは好きな事をしていていいと言ったのは俺だ。 「おかえりなさい。あ、神野さん。いらっしゃい」  ゲームをやめてキッチンへとくると買ってきたものをしまう手伝いをする。 「透、おやつは?」 「まだ食べてない」  塾に行く前に、少しでも腹の足しになればとオヤツを手作りで用意している。  今日は神野に洗濯物を畳ませている間にフルーツ寒天を作っておいた。 「透、神野座れ」  ガラスの器に入ったフルーツ寒天と、熱いお茶を煎れて置く。 「さっき作っていたのはこれか」  目の高さに持ち上げて眺め、綺麗だなと言う。 「これを食べたら神野は帰れ」 「なんですぐに追い出そうとするかな」  つれないよな、と、苦笑いをする。  透はこれを食べたら塾に行ってしまう。ということは神野と二人きりになってしまう。  あの告白を聞いた後で二人きりで部屋に居たくない。どうしても意識してしまいそうだから。 「一緒にいたくねぇからだ」  出来るだけそっけなくそう口にすると、 「酷い。ねぇ、透君も思うよね」  透に同意を求める。 「あはは。ただの照れ隠しだから」 「な、透!」  お前、なんてことを言うんだよっ! くそ、頬が熱い。  そこを手で覆って隠すが、 「耳、真っ赤だよ、お兄ちゃん」  他の場所を言われてしまい、神野にもそこを見られてしまった。 「てめぇら、おやつ抜き!」  寒天を奪おうとすれば、二人とも素早くそれを手にして食べ始める。 「美味い」 「うん、美味しい」  二人そろって笑顔を向けられて、伸ばした俺の手は宙で止まる。  兄弟じゃない癖に、なんで気が合うかな。しかもキュンとしてしまった。 「……おう」  作った物を美味しいといって貰えるのは嬉しい。鼻頭を指で掻き、俺も皿を手にしてフルーツ寒天を食べ始めた。

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