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第111話

「本当に俺は……とんでもない男に……関わってしまったもんだよ……」  その泣き顔が佐奈の脳裏に焼き付いた。 それは今の三國の〝純粋〟の現れにも感じたからだ。敗北を悔やむのではなく、認める。  その三國の純粋さが、優作を心から想っているからこそなのだと痛感せざるを得なかった。  三國が部屋から出ていき、優作と二人になった佐奈は極度の緊張から解放され、思わずその場で踞ってしまう。 「佐奈!」  驚いた優作は、佐奈の傍で膝を突き、その小さく丸まっている身体を強く抱き締めた。 「ごめん……。ちょっと気が抜けただけだから」  佐奈は優作の広い背中を優しくタッチし、微笑んだ。だが優作は安心するよりも、何故か辛そうに佐奈を見つめてくる。 「佐奈……全然気付いてやれなくて、本当に悪かった」  頭を下げる優作の両頬を包んだ佐奈は、美艶そのものである顔を持ち上げた。 「優作が謝ることじゃないだろ? オレたちの関係の隙みたいなものを突かれただけにすぎないし」  現に倉橋にバレる前や、優作への想いをひた隠しにしていた時は、誰にも相談出来なかったのだから、優作が知りうる事など出来るはずがなかった。 「だからこの事で優作が謝るのはもう無しだからな。三國先生だって、あんな優作を見たらもう何も出来ないよ。そう言えば優作なんでここが?」  その話題は終わりだと言うように、話題転換をし訊ねる佐奈だったが、その答えを訊かなくても大体は察しがついていた。

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