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第114話
「手、どけて」
優作は佐奈を見上げて言う。その目が欲に濡れきっている。
佐奈はゴクリと唾を飲み込みながらも首を緩く振る。
「ダ、ダメだ。だいたい手をどかして何するつもりだよ……あっ!」
口の端をゆるりと上げた優作は、佐奈の手を掴むと一つに束ね、邪魔だと言わんばかりにそこからどける。そしてズボンのボタンを外し、一気にチャックを下ろした。
下着を窮屈そうに押し上げている自分のモノが佐奈の目に入り、顔から火を噴きそうな程に真っ赤となった。
「や、やだ……こんなところで……誰か来たらどうすんだよ!」
「鍵閉めたし、それにこんな時間にこんな所、誰も来ねぇよ」
「だからって……」
顔も下腹部も隠したいが、両手を束ねられているせいでそれが叶わず、優作を睨むことで精一杯だ。
だが優作は佐奈の睨みも一蹴し、あろうことか下着の上から先端部を咥えてきた。
「やっ……優作……何してっ」
必死に腰を揺らしてそこから逃れようとするが、余計に優作の唇へと押し付けてる形になり、佐奈はパニックになる。
自分でもあまり触らないモノ。それを他人が、しかも大好きな人が下着の上からとはいえ咥えている。
学園内という聖域の中での背徳的な行為が更に佐奈を追いつめ、泣きそうな程の羞恥に襲われる。
「大丈夫。今日は最後まではしない。何の準備もしてないからな」
「じゅ……準備?」
男同士のセックスなど佐奈にとっては未知の世界だ。女性のように受け入れる為の〝孔〟がないのだ。佐奈の想像では、せいぜい裸になってイチャつくくらいのもの。
そのため〝準備〟が何を指しているのかが分からないのだ。
「あぁ。またちゃんと教えてやる」
「……う、うん。って優作は男の人としたことあるの!?」
佐奈はショックのせいで思わずと大きな声を上げてしまった。
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