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第118話

「あ、あの……平気?」 「平気? あぁ、飲んだことか?」  平然とした顔で訊ねる優作に、佐奈は赤い顔でこくこくと頷いた。 「大丈夫だよ。俺が飲みたかっただけだから」 「っ……の、飲みたかったの……?」 「あぁ」  信じられないと愕然とする佐奈の手を優作は握ると、そのまま引っ張り上げて佐奈を立たせた。そして優作は佐奈の乱れた制服を甲斐甲斐しく整える。  その時、優作のズボンが目に入った。  正しくは股間にだ。まだ見ぬ優作のシンボルが存在を主張している。  そして一気にどうしようもない焦燥感に駆られた。  自分だけすっきりと欲を解放して、どうして優作は平気だと思っていたのか。あれほど欲情を露にしていたのに、そこに気付かなかった愚かさにどうしようもなく情けなくなった。 「ゆ、優作、ごめん」 「ん? 何で謝ってるだ?」  優作は長机から椅子を引くと、そこへ佐奈を座らせる。そして優作が佐奈の隣に座ろうと椅子を引いた時、佐奈は優作の腰を咄嗟に掴んだ。 「佐奈……?」 「優作、それ……オ、オレにやらせて」 「やらせてって……」  喜ぶだろうと思っていたのに、何故か優作は困ったように笑う。 「だって、それ、どうするんだよ……」 「放っておいたら治まるから、気にすんな。だから少し待ってくれ」 「別に治まるまで待たなくていいだろ? なんでオレにやらせてくれないんだよ!」  拒否されたことが思っていた以上に悲しくて、佐奈は思わず声を荒らげてしまう。 「悪い……怒らないでくれ。いま佐奈に触れられたら、俺はもう自分を止められねぇから。やめろって言われても、絶対止められねぇ。それで佐奈を傷付けたくないんだ……。だから分かってくれるよな?」  それは佐奈を諭すのではなく、優作の懇願だった。

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