120 / 141

第120話

 就寝前。佐奈は自室のパソコンを立ち上げ、あるものを調べていた。  意気込んで調べ始めたはいいが、徐々に画面をスクロールする動きが鈍くなる。そして終いには止まってしまった。 「う……そ。本当に?」  佐奈は思わず自身のお尻に手をやってしまう。 「こんなところに……挿れるの? え? む、無理だよ!」  だからあの時、優作は準備がいると言っていたのだと佐奈は理解するが、あまりにも衝撃的な内容のため、直ぐには受け入れられなかった。 「お尻……お尻か……」  色々なサイトを巡っていくと、必ずしも皆がアナルセックスをしているわけではない事が分かった。ペッティングなどでお互いの愛を確め合うというものが大半のよう。  しかしアナルへの挿入は、受け入れる側に負担があるものの、最高のエクスタシーを得られると経験談で書かれている。 「優作は……やっぱり挿れたいんだよな……」  自分が優作に挿れるという立場は最初から想定はしていない。そもそも童貞の自分が、自分よりも体格のいい男を攻めるなど、到底出来そうにないし、優作にはリードして欲しい。 「う~ん……お尻か……」  暫く佐奈は頭を抱え考え込んでいたが、突然弾かれたように顔を上げ、パソコンをシャットダウンした。 「人は人、やり方も人それぞれ。考えたって始まらない。オレら二人のことだし」  そう考え佐奈はベッドに入り、暫くゴロゴロしていたが、不意に数時間前の様々なことがフラッシュバックしていった。  三國のこと、優作とのあの行為を思い出し、この日はなかなか眠る事が出来なかった──。

ともだちにシェアしよう!