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第125話

 この豪邸内はこんなに静かだったかと思うほどに音が無く、佐奈の緊張はより高まっていく。  広々とした豪邸に今は三人しか住んでないが、佐奈を安らぎに包んでくれるとても温かいホームだ。  それが今日はまるで初めて訪れる他人の家のようにも感じ、佐奈は落ち着く事が出来ずにいた。 「入って」  ようやくここで優作の手が離れた。 「う、うん……」  おずおずと優作の部屋へ一歩入る。  佐奈の部屋よりも広く、白と黒を基調としたモダンな家具類。ベッドも優作の身体に合わせてクイーンサイズの大きいもの。  敷きはホワイト、上掛けのブランケットはブラックと、朝起きたままの乱れたシーツが佐奈の目に入り、鼓動が一つ跳ねた瞬間、突然優作に抱きすくめられた。 「っ……ゆう……」  驚く間を与えないかのように、深く唇が重なる。そして慣れた手つきで佐奈のブレザーを脱がし、ネクタイを音が出る程の勢いで抜いていく。 「あ……優作……まって」  キスのせいでクラクラと足元も不安定な佐奈のカッターシャツは、次々とボタンが外されていく。そして優作は佐奈の耳朶を食んだり、舐めたりと、欲望のままに食らいつくそうとしている。 「佐奈……」  再び深く咥内を愛撫しながら、優作は佐奈を軽く抱き上げ、そのままベッドへと押し倒してきた。  佐奈の上に覆い被さりながら、咥内を隅々まで蹂躙していく様は、優作の渇望がダイレクトに伝わってくる。  その気持ちは佐奈も一緒だ。下手なりに優作の愛撫に必死で応える。それが優作に伝わったのか、優作はゆっくりと唇を離し、上から熱い眼差しを注いできた。  上半身だけを起こし、優作はブレザーを脱ぎ、ネクタイを抜いてからシャツのボタンを外していく。その際も佐奈から一瞬足りとも視線を外すことはない。

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