27 / 141

第27話

 優作がこういう目をするときは、気に食わないと感じている時だ。 「優作、なにか怒ってる?」 「俺が? 何も怒ってねぇよ」 「本当に? なんかちょっと不機嫌だし」  ボソッと呟くように言うと、優作は観念したかのように、シャンパンゴールドの髪を掻き乱すように頭を掻いた。 「あー悪い! ただのヤキモチ」 「ヤキモチ?」  佐奈が小首を傾げると、優作は急に覆い被さるかのように佐奈の身体を腕の中に収めた。 「ちょ、優作!?」 「可愛い弟を盗られた気がしてな」  わしゃわしゃと頭を撫でられながら、佐奈の胸中は複雑だった。  どんな形でも抱きしめてもらえるのは幸せだ。可愛がってもらえるのも幸せ。だけど〝可愛い弟〟という認識しかないという決定的な言葉は、本人の口から聞くのはやはり堪えた。兄弟という間柄で何を期待しているのかと、頭で分かってはいても。 「もう、優作も弟離れしないとダメじゃん」 「〝も〟って何だよ。俺とシンを一緒にするなよ」 「おい、そこの二人! オレが風呂入ってる間に何してんだよ!」  いつの間に風呂から上がったのか、スウェットを着た慎二郎が仁王立ちで二人を睨んでいた。 「何って見たら分かんだろ? スキンシップだよ」  優作は慎二郎に見せつけるように、更に佐奈を抱きしめ、頭を優しく撫でる。佐奈は佐奈で慎二郎に疑われないように、何でもないフリをするのに苦労する。 「スキンシップって、ユウがやるとエロいんだよ!」 「お前の脳内よりはマシだろ」 「はぁ!? どういう意味だよそれ。それよりいつまで佐奈に触ってんだよ! いい加減離せ」  強引に引き剥がそうと、慎二郎は優作と佐奈の肩を割り開こうとする。 「ちょっと慎二郎、なんでそんなに怒ってるんだよ。慎二郎だってやるじゃないか」

ともだちにシェアしよう!