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第38話

 そんな優作に、慎二郎は睨みを入れている。あの日から、更に二人の溝が深まったようで、会話もあまりしなくなった。 「慎二郎は何で優作にあんな態度なんだろ」  慎二郎は友人と毎朝登校するため、佐奈らより一本早い電車で行く。  駅までの道のりを、佐奈は隣を歩く優作にぼそりと問う。もしかしたら優作なら、答えを教えてくれるかもしれないと佐奈は期待を(いだ)く。 「あー……それはヤキモチだろ」 「ヤキモチ……」  そうだとしても、あそこまで優作を敵視するようなことだろうか。確かに慎二郎はブラコンだ。それも度が過ぎるほどの。しかし慎二郎も来年には高校生となる。いつも佐奈が心配している通り、いつまでも佐奈にベッタリではいけないことくらいは分かる年頃だ。  佐奈自身もいつまでもベタベタされると、それは確かに困ることだが、ニュアンスが違うことくらいは分かっている。 「この前、慎二郎に理由を訊いたら、オレが困るからって言って教えてくれなかったんだ」 「へぇ」  優作は何故か感心したような声音をこぼす。  佐奈は思わず優作の顔を見上げた。 「優作はその理由が分かるんだな……」  疎外感のせいで不満げに呟く佐奈の頭を、優作は優しく撫で下ろした。 「あいつの方が大人なのかもな……」 「慎二郎の方が?」  信じられないと佐奈は驚くが、優作はそれ以上この件に関して口を開くことはなかった。 「深山、どうした浮かない顔して」  午前中の授業が終わり、クラスの大半の者が二階にある食堂へと向かう。佐奈は弁当持ちだが、元と倉橋は食堂での昼食のため一緒についていく。  三人並んで歩く中、倉橋が佐奈の顔を心配そうに覗き込んできた。  
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