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第41話

「佐奈、今日は何か元気なかったけど、大丈夫か? 特に昼飯行く時辺りから、更にボーッとしてたというかさ」 「……ごめん。今晩ご飯何しようかとそんなことばっかり考えてたから、ちょっと憂鬱になったせいかも」  下校時間。帰宅を急ぐ生徒らは下駄箱で忙しなく靴を履き替え帰っていく。佐奈は上履きを下駄箱に入れ、元と倉橋に心配かけないよう笑顔を見せた。元はホッとしたように笑うが、倉橋は何か気遣わしげに佐奈を見ている。  そんな倉橋に佐奈はどうしたのかと目で問う。すると、倉橋は軽く息を吐くと何でもないよと言った風に笑顔で首を振った。  佐奈は僅かな疑問を感じたが、追及をやめ倉橋に頷いた。 「さ、いつものように駅までお送りしますよ、王子」 「倉橋……その王子ってのやめてくれよ」  佐奈は嫌がり倉橋の腕を押す。元はそんな二人を見て楽しそうに笑う。  まるで昔からの友人だったかのように、すっかり三人は仲が良い。  細かい事は気にしない元気な元に、おおらかだが細かな気配りが出来る倉橋。佐奈を含め、それぞれの良いところ悪いところをカバーし合える。最高に相性のいい三人だった。 「なんか、校門すげぇ人だかりになってんじゃん。何してんだ?」 「本当だ……」  昇降口から出た瞬間、元はげんなりと言う。佐奈の目にもそれが入り、よく目を凝らす。すると、女子生徒に囲まれているふわふわとした亜麻色の髪が見え、佐奈は思わず駆け出していた。 「お、おい、深山?」 「佐奈」  二人が佐奈を追いかけてくるのを背中に感じながら、佐奈は亜麻色の髪を目掛けて走る。  そして亜麻色の髪がふわりと揺れ、綺麗な顔が佐奈へと向いた。 「佐奈!」 「慎二郎……こんな所で何してるんだよ」  慎二郎を囲んでいた女子生徒らは中等部からの人間が殆どのため、みな佐奈のために場所を開けた。

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