46 / 141
第46話
翌日。三限目が終了し、四限目までの休憩時間。佐奈がいつものメンバーと談笑していると、とある人物が佐奈を訪ねてきた。
「え? ゆう……兄が?」
付いてこいと言われ、佐奈は男の隣を歩く中、優作が体調を崩して保健室で寝ている事を知らされる。彼は優作とは結構仲が良いようで、中等部の時から時々一緒にいるところを佐奈はよく見かけた。
「そ、二限目まではちょっとダルそうかなって思ったんだけどさ、ついには顔が真っ赤になってさ、それでデコ触ったらめちゃくちゃ熱いから、とりあえず保健室連れてったんだよ」
「すみませんご迷惑おかけして。ありがとうございます」
昨日優作がソファで横になっていたのは、やはり体調が悪かったのだ。きっと今朝も佐奈の前では元気を装っていたのだと思うと、佐奈は自分に腹を立てた。少しおかしいと気付いていたのに、なぜ放っておいたのかと後悔ばかりが募る。
「いや、全然迷惑なんかじゃねーよ。アイツは人を頼ることを知らない人間だから、今回は弱ってるアイツがオレに『悪い』なんて言ってきて結構嬉しかったし。あ、オレは丸谷」
丸谷と名乗った優作の友人は、優作の親が留守をしていることも知っていたようで、わざわざ佐奈のところまで来てくれたようだ。
そして保健室前で丸谷と別れ、佐奈は扉をノックし中へ入った。
初めて入った保健室。消毒の匂いが微かにするが、部屋は中等部の保健室よりも広く、床にはベージュの絨毯が敷かれている。ベッドは三台置かれ、仕切りのカーテンは淡いピンク。どこか温かみのある部屋だ。
養護教諭はいないようで、佐奈はカーテンが引かれている窓際のベッドへと近づく。
「優作?」
「ん……え、佐奈?」
驚いたような、そして少し苦しそうな声が佐奈の耳に届き、佐奈は思わずカーテンを乱暴に開け放った。
ともだちにシェアしよう!