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第2話

俺の彼氏は変態だ。  そんなことは重々承知している。変態が嫌ならばそれに付き合わなければいいだけの話だし、仕方無いと思うのならばたまにそれに付き合ってやればいい。仕方なく自分も変態街道を一緒に走ってやるというのならば、毎回付き合うだけのことだ。それもそれでいいだろう。  ただひとつだけわかってほしいのは、俺はタケシの変態街道を一緒に走ってやるつもりはまったくないし、タケシの変態っぷりを仕方ないとも思っていない。  嫌で嫌で仕方ないから、断固拒否という姿勢を貫いているのだ。  それなのに。 「美咲、似合っているじゃないか」  そんな風に顔にいやな笑みを浮かべながら俺の尻を触ってくる男、この男こそが俺の変態彼氏であるタケシ(♂、27歳)だ。 「触るな! 変態」 「公務執行妨害で逮捕しますよ! だろ? そんなんじゃ、俺の作品にも出演できねーぞ」 「誰がお前の変態シリーズに出演するか!」 「こんな日曜の真昼間に、婦人警官の衣装着てるってのに? そこらのAV女優より美咲の方が美人で淫乱だぜ」  そう、俺はタケシの言うとおり、婦人警官の衣装を身にまとっていた。  もとが女もののせいか、日本男性の平均身長の俺ではスカートの丈がやけに短く感じる。室内だというのにハイヒールまではかされ、タケシいわく教育的指導を受けている最中だった。 「これは、もとはと言えばタケシが……」 「ん? 俺は婦人警官の制服を着ろと言っただけで、こんなところまでたたせろとは言ってないぜ?」 「あぅっ……」  タケシはそういうと俺自身をきゅっと握りこむ。  悲しいことに、タケシから俺の弱い部分である脚の付け根部分を執拗に攻められたせいで、すでに形どられていた。 「あ、……も、やだ……」  ゆるゆるとその部分をしごかれ、思わず目の前の机に腕をつく。  尻だけを突き上げるようなその格好に、タケシはスカートの合間から俺の秘めた蕾に触れた。 「ほら、美咲。こんなんじゃ、本気で犯られるぞ。俺が見たいのは淫乱な婦人警官じゃなくて、交通違反をした男を捕まえたお固い婦人警官が、痴漢されて顔を赤らめながらも仕事を全うする姿なんだぜ?」 「あっ……、なら、もっと優しくしろ…よッ……」 「優しくしたら痴漢されてるなんて言えないだろ、ほら、ちゃんと立って」  俺の上体を起こしたというのに未だ、指を抜き差しするその部分はそのままにタケシはまだ俺に演技をさせようとしている。  思い起こせば数時間前。  次の作品に頭をひねるタケシにちょっかいをかけたのが悪かった。  テレビを見るだとか、本を読むだとか、最悪、次のテストの勉強をするという選択肢もあっただろうに、何であのとき俺はタケシに声をかけたのか。  そして、なぜタケシの売り言葉に買い言葉を投げつけたのか。  今となっては、もう遅い。  ナースだろうが、婦人警官だろうが何にでもなってやるよと啖呵を切った手前、この変態タケシの言うとおりにするしかないのだ。 「『なんで、俺が違反切符なんて切られなきゃなんねーんだよ。淫乱婦警さん』」 「あっ……、そ、それは交通ルールは……っ……」 「聞こえねーな」 「んんっ……交通ルール……を、あっ…お守りくださいっ……」 「この路上の真ん中でこんなになってるのに?」 「ああっ……タケシッ……おねがいっ……」  生理的ににじむ涙で後ろを振り向くと、タケシはごくんっとつばを飲み込み俺を仰向けにして机の上に押し倒す。  片膝をたて、脚を大きく開かされるとタケシはその合間からぐっと割りいってきた。 「やっぱ、美咲が一番だな……」  そのままAVばりにおいしくいただかれてしまったのは言うまでもない。

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