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番外編:聖夜のプレゼント1
「ショタレ本って知ってる?」
風呂上がりの色香ムンムンな真矢にそんな事を聞かれた。
「え、いや知らないけど」
目で『どういう意味だと思う?』と聞いてくる真矢の眼鏡が少し曇っていて怪しげに見える。
「えーっと。『ショ……垂れ?』」
質問よりも、真矢の動きにばかり意識が向く。
少し手が動いただけで抱きしめられるんじゃないか……なんてそんな甘い期待でいっぱいだ。
だって今日は……。
◇
そう、今日はクリスマスイブ。
母親に恋人とゆっくり過ごさせてやろうなんて気を利かせつつ、オレはオレでイチャつこうと真矢の家に泊まりがけで遊びに来ていた。
今までと少し違う、本当に大好きな恋人と二人きりのロマンティックな夜……。
それがどいうものかよくわからず、具体性に欠けるイチャイチャ妄想しか出来なかったけど、とにかく真矢ならオレの想像出来ない体験させてくれるんじゃないかな……なんて思っていた。
実際、想像もつかないイブだった。
いや、真矢にしてみれば至って普通で、他にもこんな感じのとこなんていっぱいあるんだろうけど……。
ちょっと贅沢な食事が並んだ大きなコタツにケーキと鳥の丸焼き。
そして強発泡の日本酒に金粉をひと振り。
それを真矢のじーちゃんやはーちゃんをはじめ、家族みんなが囲んでいる。
しかも出かけていた真矢の兄ちゃんも戻って来て、オレもあわせると八人だ。
そうだ、真矢の家なんだから、二人きりのクリスマスになるわけ無かった。
ちょっと考えれば気付きそうなものなのに、オレの頭には真矢とイチャつく事しかなかった。
オレは祖父母と住んでないから『じーちゃんばーちゃんと豪華な食事=正月』としか思えない。
なんか、クリスマスと正月が一緒に来たみたいだった。
鳥の丸焼きを見るのも初めてだ。
真矢のお母さんが器用に切り分けていた。
出がけにTVで『クリスマスは本来家族で祝うもの』なんていってたのを思い出した。
つまりこれが正しきクリスマスの姿なのか。
日本酒の瓶が並んでる横に鏡餅とか門松が飾ってないか確認したくなるけどな。
こういう日だからと、オレも真矢の家の日本酒を一口だけ飲ませてもらったりして……。
多分シャンパンに見立ててるんだろう、発泡タイプだった。
「あ、うまっ!」
オレの一言で、真矢の父ちゃんとじーちゃんがすごく嬉しそうに笑ってくれた。
正月に飲むお屠蘇なんかと違って、炭酸だし日本酒じゃないみたいだった。
うーん、とにかく違いすぎてなんて言っていいのかわかんねぇ。
ざっくり言うと、派手な味?
うん。
そんな感じ。
じーちゃんがさらに他の酒を勧めようとするのを「ダメ、ダメ、味見だけだってば!」と、みんなで止めていたのも微笑ましい。
食事の後はケーキを食べて、マッタリして。
オレは客人だからって、最初に風呂に入らせてもらって、真矢の蔵の部屋に引っ込んだ。
……まあ、こんな感じで、ふんわり想像してたのと全く違う、ほのぼのクリスマス。
その余韻に浸ったまま、一人真矢のベッドに寝転んでいた。
なのに、部屋に戻ってきた風呂上がりの真矢は、まだ少し濡れた黒い髪や透明感を増した肌がとんでもなく色っぽくて、ほのぼのとエロエロの間でオレはソワソワ落ち着かない。
そして、謎の『ショタレ本って知ってる?』という言葉。
ベッドに座り込んで頭をひねった。
ショタレ本……ショタの本?
いや、ショタレだし『レ』ってなんだ。
「うーん。ショタのタレント……?子役の本?」
「はずれ」
「ショタ……?ショタとヘタレな男の話?」
よくわかんねぇけど、BLのエッチいマンガにありそうだ。
「うーん、残念。オレも美奈姉さんに意味を教えてもらったんだけどね、でも、その教え方が少し……まあ、美奈姉さんらしいと言えばらしいんだけど」
「……???」
疑問符を顔に貼り付けてるオレの後ろに、真矢が座ってギュッと抱きしめてくる。
見かけによらずたくましい腕と、シャンプーの甘い香りにドキドキだ。
真矢の風呂あがりの熱い身体のせいで、オレのクリスマスキャンドルに小さく火がついてしまった。
「タブレットでマンガを見せられて、それが……まあ、かなり不愉快な内容だったんだけど、でもさっき俺のベッドで無邪気な笑顔で寝転んでいるサヤちゃんを見てたら……ちょっと再現したくなってしまった」
「は……?なんで不愉快な事を再現するんだ」
不思議に思って振り返ると、アゴをクッと捕まれ、少し強引にキスをされた。
ねじ込むように舌を差し込まれ、強く身体を抱きしめられる。
驚いた……けど、オレをドキドキさせるために、真矢は時々急なキャラ変をしたりする。
こういう真矢も、もちろん嫌いじゃない。
Tシャツの裾から入って来た手に腹から胸をじっとりと撫で上げられ、トロけそうになるけど『不愉快な内容』っていうのが気になって仕方ない。
「真矢……」
不愉快な内容ってなんだ?と聞こうとしたら、手でサッと口を塞がれた。
「しっ。サヤちゃん静かにして?大きな声を出すと、みんなに聞こえちゃうよ?」
「そん…ふぁ」
そんなに大きな声なんか出してない。
それにこの蔵の中では少々大きな声を出したって母屋には聞こえないはずだ。
そう思うけど、普段と違う押し殺した声の真矢はよくわからない緊迫感を発していて、ガッチリと抑え込まれるように抱きしめられると、どうすればいいかわからずに身じろぎすら出来なくなってしまった。
強引で男らしい真矢に対するドキドキと、緊張からくるドキドキでオレは頭が真っ白だ。
Tシャツを剥ぎ取られ、背後から胸を嬲られる。
「ンっっぁ…ぁあっ」
乳首を軽く摘まれただけで、刺すような快感が走った。
『きっと何かされるんだろう』っていう予感で、身体が勝手に高ぶってしてしまってる。
指で軽く転がすようにこねられると、ビクビクと身体が震え、甘い疼きが広がっていく。
「サヤちゃんはすごく敏感だね。ちょっと触っただけなのに、こんなにイヤらしい声を出して」
「んぁ…ぁあん。だって、こんなさわりかたされたら…ぁっくんぁん」
真矢がわざとこんな風に言ってるっていうのはわかる。
けど、今日は少しだけ調子が違う気がする。
……なにが違うんだ?
考えようとするけど……。
「んっんぁ……ぁう……うぅん!」
真矢の緩急つけた愛撫が気持ち良すぎてそれどころじゃない。
「サヤちゃん、おっぱい気持ちいいの?」
そう聞きながら、真矢が親指と中指でつまんだ乳首を人差し指でチロチロと弾く。
「ぁぁ…ぁああん!ぁ…き…キモチいい……」
「ふふ。可愛い声だ。それにさっきから脚をスリスリさせて。おっぱいだけで、おチンチンがおっきくなっちゃったのかな?サヤちゃんはエッチな事が大好きなんだね」
なんだ?この言い方。
なんかちょっとねちっこくて、いつもの真矢の口調じゃない。
「んぁん!だって…ぁっぁあん!」
それでもスウェットパンツの中でしっかり大きくなってしまっているモノをキュッと摘まれると、恥ずかしいくらいに甘えた声が出てしまった。
気持ち良くって、背中を真矢の身体に擦り付ける。
「ほら、わかる?男の子なのに、まるで女の子みたいにおっぱいの先っぽがぷっくりなって、コリコリしちゃってる」
「やっ…やだ……そんな…んぁ…あっ……ああっ……!!」
さらに執拗に乳首を責められて、みっともなく腰がうねる。
胸ばかりじゃなく、ソコももう少ししっかりさわってくれたらいいのに……。
……ぁっ…でも…ヤバい。
この調子だと……んぁっ…胸が……ヤバい。呼吸が出来なくなるくらい感じてしまってる。
ビンビンとした刺激に、すぐにでもイッてしまいそうだ。
ああっっ…もう、下着も……ヤバい。
風呂入って着替えたばっかなのにグチョグチョになるかも……。
ヤバいっ……ヤバいって。真矢の指…気持ちいいっ……!
「んーっっっ!ひぁぁんっ!」
「おっぱいさわってるだけなのに、イヤらしい腰つきだね。それに、ダメだって言ってるのに、イヤらしい喘ぎ声を出しちゃって。もっとエッチなことして欲しいっていう催促かな?」
真矢らしくない、イヤな言い方なのに……違うと言えない。
もっとして欲しい……。けど、気になる。
「真矢…んぁ…なんで?今日、いつもと違う……」
オレの言葉に真矢が一瞬手を止めた。
「……あれ?サヤちゃん、わかってて可愛い声を出してくれてたんじゃないの?」
「へぁ……?いや……何のことだ?」
何の説明もなしに、わかるはずないだろ……。
「なんだ、あんまり可愛いから演技入れてるのかと」
「はぁっ!? なんだそれっっっ……って、ぁんんんんっダメっ、真矢、今は乳首……ぁっぁあ!」
真矢に向き直ろうとしたのに、先っぽをチロチロと弾いては揉み潰されて、背中を真矢の胸にぎゅっと押し付けヒクヒクと悶えてしまう。
オレが快感に身を固めて大人しくなったからか、今度は胸を手のひらで大きくなではじめた。
弾くようなキツい快感から、手のひらでの甘やかすような刺激に代わると、もう条件反射のように真矢に甘えたくなってしまう。
「ん…はぁ…演技って……何?コレ、どういう設定なワケ?」
真矢の首に頭を擦りつけながら聞く。
「見せられた漫画っていうのが、可愛がり系のショタレイプものだったんだ。かなりソフトな方だったんだろうけど俺はドン引きで、胸糞悪かったけど……ショタなサヤちゃんに無理やりエッチな事を教え込みながら開発していくっていう態 でイチャつくのは悪くないな……と」
「あ…ぁあっ…ちょっ、真矢、話……途中でっ……ソコ、やめて……ぁあぁ…気持ちいいから、ダメだって……」
真矢がオレのすっかり猛ってしまっているモノの先端をゆるく握ってこねるように刺激してくる。
「そうそう、こんな風に『イヤ、やめて、気持ちいいよう』なんてセリフを聞きたいな……って思ってたんだ。……今のはわざと言ってくれたんだよね?」
「バ、バカっ。違っっ……んっんんっっ。ぁ……はぁ」
やんわりだけど、真矢の手は止まらない。
「漫画じゃオッさんだったんだけど、サヤちゃんに『おじさん、やめて!』とか、言われてもピンとこないから……近所の大学生って設定で『お兄ちゃん』って呼んでもらうのはどうかな?」
「ぁはっ……はぁっ。お、お兄ちゃん……?」
なんだそれ!? ってツッコんでるつもりだったのに……。
「はい、良くできました。サヤちゃん、これからお兄ちゃんがする事、誰にも言っちゃダメだよ」
……おいおい、なにバカ言ってんだよ真矢!頭ではそうツッコんでるけど……。
「……うん。誰にも言わない」
なんで甘えた声が出ちまうかな……。
「『お兄ちゃん、誰にも言わないよ』でしょ?」
……そんな事言えるかよ!
「……うん、お兄ちゃん……誰にも、言わない……ヨ」
「ああ、やっぱりサヤちゃんはいい子だね。可愛い」
ギュッと抱きしめられて、頬に二回、三回とキスをされると……。
「お兄ちゃん…ヒドいコトしないでね?」
ああああ……なに言ってるんだオレ!
真矢に強くギュッと抱きしめられ、また、強引にキスをされた。
あふ……強引なんだけど……ああもう。それがうれしい……。
「『ヒドいコト』なんかしないよ。気持ちの良いことをいっぱい教えてあげる。サヤちゃんはさっきおっぱいであんなに気持ち良くなっちゃっただろ?才能あるよ」
……才能って…うう。
真っ正面から目を見て言われ、恥ずかしさに顔を背けてしまった。
そんなオレの耳を真矢が軽く噛んだ。
さらに低く艶めいたため息を『はぁ…』と耳に吹き込んで、オレをゾクゾクとさせる。
力の抜けたオレをベッドに仰向けに押し倒し、ちょっと悪巧みでもするような表情でニヤリと笑った。
その顔にどうしようもなくトキめいてしまった。
『絶対イケナイコトされちゃう』そうわかってても、好奇心に負けてしまう子供のような気持ちになってくる。
「ぁ…ぁう……」
片方を指で揉まれ、もう片方を唇でしごきなら吸われ……。
強い快感に頭を振って耐える。
「可愛い乳首だね。なのにこんなに敏感でエッチだなんて…。ねぇ、サヤちゃんは何歳なのかな?」
年齢……ショタっていくつだ?
「くぅぅ……ンぁ…ぁぁ…。じゅ……十一歳……くらい?ぁああぁ……」
声が途切れ途切れに揺れてしまう。
「五年生かな?六年生?おっぱい気持ちいい?」
一緒に聞くような内容じゃないだろ。
それに気持ちいいかどうか、聞かなくてもわかってるクセに。
「んぁ…きもちィイ……んっんんっっ。ご、五年せい……」
なんでこんなかわい子ぶった声が出るのか、自分でも不思議だ。
「右と左どっちが好き?」
えーと…どっちが右でどっちが左だっけ?
わかんね……。
ビクビクして、ヌメヌメが気持ちよくって……ああ…どっちも……。
どっちもだけど。
「お兄ちゃんにペロペロされてるほう……」
「そっか、サヤちゃんは乳首ペロペロされるのが好きなんだね」
「……んんっ、すきぃ……!」
小さく頷いて、真矢の髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。
「サヤちゃん、他の人にはお兄ちゃんと気持ちいいことしたって、ナイショだよ」
「ん…ぁ……な、なんでぇ?んあ…あっああん!」
「なんででも。それに大きな声も出しちゃダメ。お友達に見られちゃうよ?」
「……え?ここ、どこ設定?」
一瞬冷静な声を出しながらも、腰を真矢の身体にすり付けるのを止められない。
「サヤちゃんの同級生の家だよ。みんなゲームに夢中だからサヤちゃんがいないのにまだ気付いてないけど、大きな声出すと探しにきちゃうよ?」
てことは、真矢は同級生のお兄ちゃんって設定か。
う……同級生って、カズやフー太にこんな姿見られるとかマジ勘弁だ。
単なる設定にすぎないのに、ちょっと緊張してきてしまった。
「……サヤ、お兄ちゃんのコト誰にも言わないから、お兄ちゃんも誰にも言わないで」
オレが小さな声で懇願すると、真矢が息を呑んで強く抱きしめてきた。
「はぁ…っ……もう…サヤちゃん……嘘だろ。可愛過ぎる。っあー。可愛い。可愛いっ!誰にも言わない。ああ、むしろ言いたい。いや、言わない」
え…『むしろ言いたい』って、絶対ダメだぞ、恥ずかしい!
「お兄ちゃんが、誰にも言えないような気持ちいいコトをサヤちゃんの奥までたっぷり教えてあげるね……」
「…うん……」
低く通りのいい声を耳に流し込まれると、それだけで身体が熱くなってしまう。
下着に差込まれた真矢の手が、入口をソロリと撫でる。
けどすでに真矢の艶声で奥までビクビクと気持ち良く疼いてしまっていた。
「サヤちゃんのココ、すごく気持ちよくなるって、知ってた?」
「し……しら…ない」
……十一歳って設定なんだからこう言うしかない。
「本当に?一人で指入れて遊んだりしたことない?」
「……な……い」
気まずくて声が小さくなってしまう。
あからさまな嘘をつくのが恥ずかしくて全身真っ赤になってしまった。
「本当に?じゃあ、サヤちゃんがお尻の穴で気持ち良くなれるようにしっかり広げてあげるね」
「えっっ……」
そんな露骨な事、言う?
オレの戸惑いをよそに、ヌメリをまとった指がズルッと入ってきた。
「ぁ…う……。……うっ。……うっ」
広げるように中で動き回るだけじゃなく、他の指で快感を引き出すように入口をなぞられる。
その指使いにたまらず腰が跳ねた。
ガマンしても喘ぎ癖がついちゃってるから、どうしても声が漏れてしまう。
そんなオレをキャラ演技混じりの薄い微笑を浮かべた真矢が眺めている。
「ビクビク跳ねるのを我慢出来ないくらい気持ちいいんだ?お尻の穴に指を突っ込まれて喘いじゃうなっちゃうなんて、サヤちゃんはイヤらしい子なんだね」
「…んっぁん…ちが……。んぁっ……ああっ!」
違うなんて言いながら、気持ち良さに勝手に腰が持ち上がっていく。
狙い済ましたように、ずるっとスウェットと下着を下ろされると太ももに雫が伝った。
「サヤちゃん五年生なんだよね?ココ、こんなに大っきくなっちゃって、すごくヌルヌルしてる」
からかうように指先でツンツンとつつかれた。
「んっぁあう…も……ヤダ……」
恥ずかしい。
適当に五年生なんて言ってしまった自分を呪いたい。
手で自分のモノを隠すと、その手ごと上から揉みしだかれる。
「あ…んぁう…うっふぅぅ…。ヤダ、もう…ヤダって……」
必死で喘ぎ声を我慢しながら嫌だと言ったところで真矢には通じない。
「嫌だなんて嘘ばっかり。そんなエッチな顔して……お尻もほら、気持ち良さそうにキュウキュウ締め付けてきてるよ」
「それは…だって……。んぁっん……」
真矢にさわられるのが嫌なわけじゃない。『ヤダ』っていうのは『恥ずかし過ぎるから小五のショタ設定をもうやめて欲しい』って意味だ。
普段からあまり上手く言葉を選べないのに、声を我慢しなきゃって思うと余計に何て言ったらいいのかわかんなくなっちまう。
しかも真矢がわざとねちっこいしゃべりかたをするせいで、すごく恥ずかしい。
ニィっと口角を上げた笑顔も真矢らしくなくて不安になる。
ギュッと抱きつくと真矢であることを確認するようにキスをした。
キスの距離なら作りものの表情なんか気にならない。
オレに見えるのは涼しい目元のいつもの真矢だ。
……うん、いつもの真矢がいい。
いつもの真矢になら、ちょっとくらい恥ずかしいコトだって我慢できるのに。
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