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6−うあっっっ![何やってんだオレ]
『オーリオ』は山田力のやる攻キャラの名前だ。
オーリオは情熱的で、サリュを大切にしたいのに気持ちが抑えられなくなって、何度もサリュの身体をむさぼってしまう。
そんなオーリオを密かに慕い受け入れるサリュ。
けど、オーリオはサリュが使命の為に身体を与えているだけだと思っているため、欲に流されてしまう自分が許せない。
それに気付いてサリュは身体であなたの気持ちを伝えて……とオーリオにねだる。
健気だサリュ。しかも生真面目なところがあるオーリオを肉欲に溺れさせる名器。
オーリオも、この『サリュが大切でしかたない!』ってところがいい。
もうサリュしか見えていない。
途中、使命そっちのけなんじゃないかってくらいサリュに夢中だ。
こんなに優しくされたら、メロメロにならないわけがない。
ほかのキャラも甘くていいけど、やっぱりオーリオが一番だ。
……いや、教官キャラのトレーズももし山田力がやったら。
いや、でもやっぱりオーリオ。
どんなふうに演じるんだろう。気になる。
ばっと起き上がってPCの電源を入れる。
また、あのサンプルボイスが聞けるBLゲームサイトにアクセスしようとしていた。
その時、メールに気づいた。
制作の顔文字女に、エロは初めてだから他の人の声が聞けないか……と、遠回しに山田力の音声を催促していたのだ。
その念願の音声ファイルが送付されていた。
急いで自室の扉を施錠&ヘッドホンを装着。
期待と緊張で異常にドキドキしている。
複数の音声データを聴けるようにしてくれてるみたいだ。
ヘッドホンから、山田力が……いや、オーリオがオレの耳に声を吹き込む。
『んっ……はぁっ!ああ…愛してるんだ。なのに…こんなっ!キミの中の力が私を狂わせるっ』
うっひゃーっ。
思わず両手で顔をおさえていた。
最初の吐息交じりの『んっ……はぁっ!』が、たまらなく生々しい。
演技はしている。
ホントの吐息じゃない。
けど、ホントの吐息よりずっとオレをゾクゾクさせる……。
二人の想いが通じ合ってイチャイチャしているシーンの音声もあった。
『赤く熟れた果実がもっと…って誘ってるみたいだ。ふふ…かわいい反応だ。そんなに…ココが好きかい?』
セリフにはない、乳首にキスするようなリップ音が混じる。
……何だか。
もう一度聞く。
………はぁ…。ほんとにオーリオにしゃぶられてるみたいな気分になる。
男の乳首なんか気にした事なかったのに、妙に自分の乳首が気になり始めてしまった。
……もう一度。
………。
シナリオを目で追いながら、何度もオーリオの声を聞く。
オーリオの吐息とリップ音で頭の中がいっぱいになる。
はぁ……。オーリオ。
耳たぶと頬が熱い。
『ちゅっ』と言う音を聞くたび乳首の先がむずむずする。
浅い息を繰り返しながら、何度もオーリオのセリフを再生し、シナリオを読み進めた。
もう何度か身体を交え、使命ではなく、互いの気持ちを求め、身体に触れ合うシーン。
この音声はここのセリフか。
いつもはサリュのことを気づかって、必要以上の快感を与えないようにしていたのに、この時からオーリオはサリュの快感を引き出す事に遠慮しなくなる。
――オーリオが中を穿ちながら、執拗にサリュの乳首を愛撫する。
あぁん!ボク…こんなトコ触られるの……は…初めてなのに…気持ち良く…ん……なっちゃうなんて…はずかしっ……。
こっちも触ってほしいと語りかけてるみたいだね。可愛いサリュ。恥ずかしがらずにもっと見せて。
――サリュはオーリオに、男を受け入れることにすっかり慣れ、貫かれる事を期待してしまっているイヤらしい自分を知られたくない……けど。
イヤッ!ボクばっかり…あぁん!そんなとこ……見ないでっ!
きれいだよ。快感に打ち震えるキミにはどんな女神だって叶わない。
――すっかり快感に溺れる事を覚えたサリュ……。
ウソ……こんな、ああん…こんな、いやらしい…んっ…ボクを…嫌いにならないで?
嫌いになるわけがない。私の手でキミがこんなに乱れてるなんて、こんな嬉しい事はないよ。
んああ、オーリオ!……オレっ……。
あ……?オレ?
………あ…。
くそっ…。
これだけはやるまいと思ってたのに。
はぁっ。っくっ。
手がTシャツの中に潜り込んで自分の乳首をこね回していた。
『んぁあ、……オーリオ!』
そう、オレじゃない。サリュだ。
今、オーリオにこの固くなった先端をさわられて気持ちよさを覚え始めてしまっているのは……。サリュ。
目をつぶり、すっかり起ち上がって濡れそぼるモノを下着から取り出した。
また、音声ファイルを再生する。
『んっ……はぁっ!ああ…愛してるんだ。なのに…こんなっ!キミの中の力が私を狂わせるっ』
ああ……オレ…違う……ボクもっ好きっ!すきっ!
んっ、はぁあ…気持ちいい……かも。
なんか……乳首……こんな。変な感じなのか?
くすぐったいみたいなもどかしい快感が股間にまで伝わっていく。
うっ。ああ、オーリオ!もっと、ああっ!
あん……下も…そんなにぎゅぎゅってされたら……ボク…。
ああ…やだっ……腰が……止まらないっっ。
いいっ…スゴク気持ちいい。
そこっ。んんん!あ……先っぽくりくりしてっ!
あっはぁっ…ソコ…あ、その動き…んんっ…だめっ…キモチィィ……。
手……おねがいっ……。もっと………もっと激しくし動かしてぇっ!
もう、ボク……うっっイク。
うあっっっ……マジでイク!
………。
……。
放出したものがこぼれないよう、慌ててティッシュに手を伸ばす。
ぐいぐいと拭き取ってゴミ箱に投げつけると、手荒くPCの電源を落とした。
「くそっっ!」
ばたん!とベッドに倒れ込むと無駄にゴロゴロところがる。
「くそっっ!くそっ!くそっっ!何やってんだオレ!」
ひとしきり転がると、脱力した。
天井をぼーっと眺める。
そしてがばっと起き上がって部屋をウロウロついた。
なにか、今、何かに気付いたんだ。
また、バタンとベッドに寝転ぶ。
オレは…オレは……。
「あ、そうか!」
オーリオの声を聞きながら頭の中でサリュになりきろうとしてたけど、まあ、半分くらいはなりきってたけど、それは頭の中だけのことだ。
「オレ、ぜんぜん声出してなかった」
頭の中では『ああ、オーリオ!』なんて言ってたけど、口に出てたのはせいぜい『ん』とか『はぁ』くらいだ。
正直、自分がリアルに『あぁん』なんて言うのはかかなり気持ち悪い。
けど、サリュは言いまくりだ。
……だからか?やっぱリアルな喘ぎが想像つかないから演技の喘ぎに違和感があるのか?
もう一度股間に手を伸ばし、モノを起たせる。
ちょっと気持ち良くなってきた。
「あ…あん……」
……。
………。
うおーーーーー!
はずかしいい!
なんだ。何言ってるんだオレ。
股間のモノをむき出しのまま、熱くなった顔を両手で押さえてベッドの上をゴロゴロと転がった。
うわー。
だめだっ!
これはだめだ!
この取ってつけたような『あん』はねぇよ!
さっきのオーリオで抜いた気まずさとか吹き飛んじまうくらい恥ずかしい。
オーリオのあのセリフにオレの『あん!』は通用しないだろ。
どうすんだオレ。
残りほとんど喘ぎセリフなのに。
こんなみっともない喘ぎ……。
ヤバイ。
まだ締め切りまで日数あるから、どうにかしないと。
すでに録ってる喘ぎまじりのセリフも録り直した方がいいかもしれない。
ヒドさを自覚したらもう使えない。
てか、どうしたらいいんだ。
喘ぎが上手くなる方法とかしらねぇよ………。
はぁ……。
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