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29-きゅううん[ヤってみた]
「んん…まや…ふっっ……んン」
身体が高ぶるにつれて、だんだん音声の内容を無視して手が快感を追い求めるようになる。
脳内イメージもBLゲームの場面から次第にすり替わって、いつも真矢と会う、学校の屋上への扉の前になっていた。
屋上へ続く扉は鉄製でガラスには升目にワイヤーが入っている。
階段には木製の手すり。
オレは扉にもたれかかって座り、真矢の腰に片足を絡めて……。
優しいのに強引で情熱的な真矢のキス。
そして『真矢の手』はオレのすっかり敏感になってる乳首をこね回している。
「ん…あっんん…あっっっあっっっ!」
『サヤちゃん、本当に乳首大好きだな』
「だから…ちあう……真矢に…されるからっ…んぁっあっ!」
真矢の指の感触や、のしかかられた重み、身体の熱、ニオイなどが生々しくよみがえってきて、自分の乳首をこねる指が震えた。
『ほら、乳首しかさわってないのに、コッチももう、こんなだ』
「あ…ん…。さわって……?まや、ソコ…気持ち良くして……」
イメージの中の真矢が、オレのすっかりデロデロでガチガチになってる部分をつかんでこする。
実際ソコにふれているのは自分の手でも、真矢にされてるって思うと、その動きが変わってくるから不思議だ。
『サヤちゃんは、本当に甘えんぼなんだから』
「ふぅん!だって……まやぁ…ンっあっっくはっっ」
そう言われれば余計に甘えたくなって、気持ちとシンクロした甘く鋭い快感に息がつまる。
『イヤらしい声出して……。そんなにキモチいいの?もうイキそうだ』
「うんっっうんっ!あ…ホントヤバい。んんあふっ。こんなしたら、マジですぐ……っっっンん」
興奮しすぎて激しく動いてしまっていた手を、どうにか離した。
はあっはぁ……。
ちょっと、マジでイキそうになった。
いくらなんでも早過ぎる。
……もったいない。
けど、すぐに妄想を再開。
想像の中で、真矢に指示され、階段の手すりをつかんで立った。
そして真矢は後ろからオレの腰に手を回すと、オレのヌメリを取って後ろに塗り込んで……。
「ん……ぁ」
オレは自然と腰をそらし、お尻を突き出してしまう。
「ふぁ……」
指がクルクルと敏感な窄まりをなでるたび、ねだるように腰が揺れてしまうのが恥ずかしい。
『サヤちゃん。指、入れていい?』
真矢がわざわざ聞いてくる。
嫌だなんて言うわけないって、わかってるクセに。
「はぁっっはぁっっ…真矢っっ入れて。まやっっ!」
真矢の長い指がちょっと分け入っただけで腰が跳ね、自分から迎え入れるように尻を揺らしてしまった。
『本当にサヤちゃんは、我慢のできない子だな。そんなに俺の指で中をかき回してほしかったのか』
「あ…だって……ん。んんっっっ!く……ヒャん!あっっああアっっ。」
現実のオレは、うつぶせでベッドに顔をすりつけながら、勝手に上がってしまう腰を揺らして指を二本くわえ込んでいた。
『すごいねサヤちゃん、こんなヤらしく腰を揺らして。もっともっとってねだってる』
ああ……はずかしい。
……本物の真矢にもこんなこと言われてしまいそうだ。
「んぁ…んんんっっ。まやっっお願い。入れて?真矢の……欲しいよ」
妄想なら、こんな事だって簡単に言えるんだけど……。
『ふ……可愛いね俺の妖精さん。サヤちゃんの可愛いつぼみを俺が咲かせてあげる』
って…こんな事は、さすがに言わないよな……。
真矢がオレの尻を割り開くようになでながら、立ちバックで挿入していく。
オレは入れやすいよう出来るだけ腰をそらし尻を突き出して……。
「んんっっん…はぁっハァっっっっ。あんン!」
真矢のモノが入ったと想像するだけで、甘えた喘ぎ声が跳ねる。
「ンぁ!んんんっっ!」
媚びた甲高い声が鼻から漏れ続けた。
指も腰も止まらない。時々抜けそうになってしまうほどだ。
後ろからぴったり密着して、真矢の身体を感じながらぐっぐと強く押し込まれて。
「んんあ…あはぁ…まやぁ…イイっ…ふぁううう……」
汗で湿った身体を滑るようにこすりつけられて、真矢の香りが濃密になって、首を舐め上げられて……ああ…もうたまんね……。
『イヤらしい声が階段中に響いちゃってるよ、サヤちゃん』
そう、扉のそばなら声は響いても下の階には抜けないけど、手すりのそばは吹き抜けになってるから、めちゃくちゃ反響する。
たった二歩移動しただけなのに、ここだと下に聞こえてしまう可能性がかなり高い。
「あっ…あアっっ…はずかし…んぁ……」
『そうやって、みんなに恥ずかしい声を聞いて欲しいんだ?』
「ちが…あん!ああっっオレ…真矢に…んぁああアアっあっっっっアあっ」
「あっあっも…う…イクっっイクっっ!真矢、聞いてっオレ…真矢に聞いて欲しい。あっン」
後ろに自分の指を差し込んだまま、前のモノを掴んで夢中でこすり上げていた。
「真矢にされ…あっっあんっ!聞いてっああっ。あ、スキ…まやっっ!…あっっイ……ク」
支離滅裂なことを口走りながら、引きつるように欲望を絞り出す。
頭ん中が真っ白になった。
「はぁっ…はぁっ!」
息が上がって身動きが取れない。
手のひらに吐き出した液体をこぼさぬよう気をつけながら、シーツにグッタリとつぶれた。
あーー。
顔をシーツに押し付けたまま喘ぎまくったから……ヨダレみたいにシーツが濡れてる。
みっともない……。
けど…なんか……ヨかった。
真矢の体温とか、肌の感触とかが、リアルによみがえってきて…もぉ…すげぇ良かった……。
のろのろと立ち上がってティッシュで手を拭き、またベッドにバフッと寝転んで脱力……。
しようとした瞬間に、スマホの着信音が響いた。
ビクッッっと飛び上がって、反射的にスマホに手を伸ばす。
けど、わたわたとあわてたために、手がすべって発信者を確認する間もないまま通話にしてしまった。
なんか、気まずい。
スマホを握って腕を伸ばして耳から遠ざけ、目をつぶって無意味な抵抗をしてみる。
スマホからはかすかに声が漏れてきてる。
フー太とカズには電話すんなって伝えてるから、母ちゃんかトモジ?それかほかの……。
ちょっと息を整えてスマホを耳にあてる。
そこから聞こえてきたのは
「真矢ぁぁぁぁっ」
ハートいくつ付いてるんだってくらい甘ったるい、シュガーボイスになってしまった。
「あ、やっぱり聞こえてなかった?」
「ゴメン、ゴメン。ちょっと手がすべってあたふたしちまった」
「そっか」
「今日、通話できないんじゃなかったのか?」
「用事がちょっとだけ早く終わって、さっき帰ってきたんだ。とはいえ遅い時間に変わりないし、急にかけたら迷惑かなって思ったんだけど、ちょっとでも声が聞きたくて」
あああああ……聞いてくれ、オレの声で良ければいくらでも聞いてくれ。
「うれしいよ。真矢」
胸がキュウっとなって、ちょっと声がかすれた。
でも、うっとりとしてるトーンは充分伝わってるだろう。
「サヤちゃん……」
オレの名を呼ぶ真矢のトーンも艶っぽい。
「サヤちゃん、今何してた?」
「えっっっっ????い、今?」
「?…何か言えないような事でもしてたのか?」
「…………」
軽い冗談のような調子の真矢の言葉に思わず無言を返してしまった。
「サヤちゃん?」
「あ、いや、別に言えないようなコトとか別に」
「じゃ、何してたんだ?」
「いや、別に言えないようなコトは、してねぇ」
微妙な押し問答だ。
「言えなくはないけど、言いにくい事?」
「ああ、そう!」
「……ふぅん?」
「俺の事……考えてくれてたりした?」
「ああ、ついつい……いや、ずっと真矢のコト考えてた」
「へぇ?嬉しいな」
嬉しいなんて言いながら、ちょっと含みがある口調のような気がする。
「俺の事考えながら『ちょっと言いにくいコト』してくれてたんだ?」
「はっっ……あ、ちが……!」
「教えて?どんな風にしてたの?」
「……そんなの」
言えるわけないだろ。
口ごもるオレに真矢がフッと息を漏らす。
「うれしい…。本当に俺のこと考えながらしてくれてたんだ?」
「えっ?…ちがっっ」
「ちがうのか?」
ガッカリした声を出されると、それがわざとだってわかってるの……に……。
「ち…が……わない」
ほだされて認めてしまった。
「ああ、もうサヤちゃんは、なんでこんなに可愛いんだろ」
「真矢は何してたんだよっ!」
「古武術の師範のとこにカポエイラの指導者が来るからって兄さんにつき合わされたんだ。明日もまたつき合わされるみたいだ」
「は?」
「で、どんな風にしてたのか教えて」
真矢の用事は兄さんに何かつき合わされたってことみたいだけど、その話はそっちのけで、オレばっかり色々言わされて、それで結局通話しながら……。
「ん…真矢っっあ…オレ…また…イクっ」
「はぁ…俺も…サヤちゃんのそのかすれた声……クる。もっと…聞かせて?」
「あっあああっ、むりっっもう、ホント、イクからっ……んンっっ」
「はぁっ、いいよ。ん…サヤちゃんのイクときの声、大好きだ。それを聞きながら俺もイキたい」
「ん…まやっっっあっはぁっっはぁっ真矢っ、んっっくっ出るっ…あ……出…てる…んっはぁ……」
「はぁ…サヤちゃん…イイっ。俺も…んっっはぁっっイクっ。ほら想像して、サヤちゃんの中に……出すよ」
……。
…………。
そんな感じで今日も仲良しだ。
めでたしめでたし……みたいな?
けど、電話かけてきたのが真矢だってわかったときのオレの「真矢ぁぁぁぁっ♡♡♡♡♡♡♡」って、甘ったるい声はいただけない。
ガキ臭くて風情ってモンがねぇ。
吐息まじりに
「……真矢♡」
語尾にハート一個くらい。
てのがムードあっていいよな。
うん、今度絶対この言い方しよう。
そしたら、きっとオレの第一声で真矢もメロメロ間違いなし。
……オレ、真矢がオレの言葉に反応して電話口で
『……っ』って、息を飲み込む気配を感じるのが大好きなんだよな。
だから……。
息も止まるくらい色っぽい声を……。
いっぱい真矢に聞かせられるようになりたい!
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