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花の散り方。八

Side:紫呉 ほろほろと花のように零れる涙。 楓は今まで、寂しく笑うことはあっても泣く姿を見せてくることは少なかった。 ので、俺は目の前で泣いて拗ねている楓をなぜかホッとしてみてしまっていた。 抱きしめるよ。大切だからね。 嘘は言わないよ。君の前では素直でいたいから。 でも――何をしているのかは全部話さないよ。 楓が悪いわけではないからね。 「紫呉さん、ちょっとだけここで待っていてください」 「え。うん、もちろん」 楓は涙を拭くと、唇を少しだけ尖らせたままどこかへ消えた。 そして本当にものの数分で戻ってくると、手には数冊の雑誌があった。 「絢斗さんに教えていただいていた、貴方のコレクションです」 「エロ本じゃんか……」 しかも押し付けられていた奴。捨てるのが困って俺の一人暮らしの家に置いていかれたやつもある。 それを楓は驚きつつも、開いていく。 さっきまで泣いていた君は何処へ行った? 「あのう、楓。どうしてこれを?」 「……え、紫呉さんはしたくないんですか」 「楓とはしたいけど、ってなに?」 「晤郎が嫌われたがっているのなら、私は本で読んだこれをやってみたいのです」 昨日まで、確かにこの人は箱に入っていた。生娘って言葉が似合う。 大切に晤郎に純潔を守られていた。それを俺がゆっくり開発していく予定で手を出したのに。 今、その人がエロ本見ながら色んな体位を観察している。 「これって男女ですが、男同士でもできますか?」 積極的な楓もたまらないぐらい可愛い。 「……できます」 「じゃあ、これもできますね」 可愛い恋人の考え方が、ちょっとだけ面白い。 俺も反応が見たいので、頷くしかなかった。

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