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花の散り方。九

晤郎の部屋は、台所に近い俺たちとは棟が違う場所にある。 離れから近く、物置や蔵に繋がる長い廊下の手前。 鍵は掛けていないモノの、人を寄せ付けないオーラが常にマックスのその部屋に俺たちは近づく。 「晤郎さん、開けてください」 楓が襖をノックすると、中で大きな音が数回したあと無表情の晤郎が顔を出した。 「……どうしました?」 俺の顔を見て、目を細める。訝しげに警戒している。 二人でやってきたのを、怪しんでいる。 流石晤郎だ。正解だよ。怪しいことをしに来ている。 「あのですね。晤郎さんが私に嫌われたがっているようなので、せっかくですからコレを」 楓が見せたページに視線を落として固まっていた。 まあ当たり前だろう。 楓が嬉々として見せたページは、3人でまぐわっているのですから。 「……楓さま」 「三人でしてみませんか」 「――紫呉、ちょっと来なさい」 何故か俺が胸蔵を掴まれ、壁に押し付けられた。 「お前、楓さまに何をした。いや、何を教えた!」 「俺は、楓に自由に生きてって言ったあけだし。俺だって、楓の身体は俺のモノだと思ってるよ! でも48体位に興味を持っちゃって」 「楓さま!」 俺は廊下に押し出される。襖を薄く開いて中を見ると、楓は座布団の上で正座させられ晤郎が畳の上に正座し説教していた。 心なしか、楓は嬉しそうに説教を受けている。 「……でもちょっと面白そうでしょう?」 「愛情がない行為は、駄目ですよ、楓さま」 「私は晤郎さんに愛情はありますけどね」 「――っく」 頭を押さえて困っている晤郎が、ちょっと面白い。 「晤郎さんは、私が知る限りあのときしかそんな行為を見たことないですが、大丈夫です。私がリードしますよ」 「ぷっ」 「紫呉、摘まみだしなさい! 少し頭を冷やさせなさい。君の恋人だろう!」

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