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花の散り方。十

「怒られちゃいましたね」 襖をこれでもかと叩きつけるように閉めた晤郎に、楓は全く反省の色を見せていない。 俺は分かる。楓は本気だ。 「仕方ねえから、二人のイチャイチャ見せつける?」 「わ、ここで、ですか。ドキドキしますね」 廊下で頬を赤めながらもためらいながら着物の紐を引っ張ろうとする。 俺は廊下より布団の上でじっくり楽しみたいんだけど、楓の願いならここでするか。 廊下とか、布団まで待てなかった獣みたいなセックスって感じで悪くないけど。 「そこで盛ったら、二人とも追い出しますから」 襖が薄く開いたので、その中に手を入れて無理やり開いた。 晤郎が一瞬驚いたが、俺を睨んでためらいなく足を踏んずけてきた。 勝てる。体格はほぼ変わらないが、俺の方が若く鍛えている。 晤郎ぐらいなら羽交い絞めしたら勝てる。 「てなわけでよ、俺の楓の願いだからさ。覚悟決めろよ」 「――紫呉」 切れそうな晤郎の耳に、楓に聞こえないように囁く。 「楓が、そんな雰囲気に持っていけるテクがあると思う?」 「何を企んでるんです」 「……楓もさ、気づいてるんだよ。俺たちの変化に。で、不安なの。とりあえず、何かしたいならやらせてよ」 晤郎は過保護。何もやらせず、傷つかせず、おそばでお守りする石頭。 俺は放任。傷ついても絶対に守ってやるから、自分で決めて自分で行動させてやる。 どっちも愛情ゆえの行動だと、楓も気づいてくれると思う。 そんな楓は、俺たちが諦めてくれたのだろうと嬉々として布団を三つ並べた。 大人しく大人が川の字で寝る。 が、布団三つ敷いた時点で3Pに持ち込めると思わないんだけど、案の定真ん中の楓は俺と晤郎の顔を交互に見るだけ。 そっからどうしていいのか分かっていない様子だ。

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