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花の散り方。十一
「次はどうしましょうかね、楓」
「えっと、お互い触れてみましょう」
言われるがまま手を出してきたので、楓の手を握る。
晤郎も隣で握ったのか、自然と真ん中の楓に視線が集まる。
が、これはどうみても3Pではない。
俺と晤郎が親で、真ん中の楓は寝かしつけられている子どもだ。
ここから寝技に持ち込むのは難しいんじゃねえかな。
「楓、諦めよ。三人はさ、――楓の負担がめっちゃ大きいから。初心者の楓にはむりだって」
よしよしと布団越しにお腹を擦ると、不満そうに起き上がった。
「だって、晤郎が意地悪してきたんですよ。意地悪してやりたいじゃないですか!」
「もう十分頭痛がします。結構です」
ぴしゃりと言われ、楓は俯く。
「だって、……もう何があっても、きっと晤郎は私の前から去るのですよね」
「まあ、そうなりますね」
「喜ばしいことなのに、晤郎にも幸せになってほしいのに、なぜか心にぽっかり穴が開いて寂しいんです。私の人生の半分以上は晤郎と一緒だったし。野菜の好き嫌いにはうるさいし、色々厳しいし顔は怖いけど、私には優しい兄のような存在で――」
その兄のような存在に、夜這いしようとしてたじゃん。
喉迄出かかった言葉だったけれど、すぐに飲み込む。
晤郎が、自分の布団を捲って、楓を手招きしたからだ。
「どうせ、顔も怖いし好き嫌いにはうるさいけど、貴方に心配されるぐらい幸薄い顔をしていますよ。はやく、来てください」
「晤郎……3Pしていいの?」
「馬鹿ですか。隣に寝てもいいですよってことです」
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