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花の散り方。十四

「……へえ。じゃあ誰も幸せにはならなかったなんて、酷い結婚だよなあ」 晤郎がいてくれて良かったと思う反面、お前が居たから楓が余計傷ついたと思う辺面――本当に心から愛されていなかった、楓の旦那が少し可哀想だった。 愛情を注いだら愛情が返ってくる。 これが意外と難しくて、それでいて奇跡に近いことなのだとしたら。 俺は諦めなくて楓を好きだと言葉も態度も止めなくて良かった。 大きくぽっかり浮かんだ月に思いを馳せる。 どうかこんなつまんねえ政略結婚が二度と起こりませんように。 次の朝には、全て散ってしまっているだろう。 因果の上に咲く美しい花は。 俺と晤郎で、全て終わらせるのだから。

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