139 / 169
花の散り方。十四
「……へえ。じゃあ誰も幸せにはならなかったなんて、酷い結婚だよなあ」
晤郎がいてくれて良かったと思う反面、お前が居たから楓が余計傷ついたと思う辺面――本当に心から愛されていなかった、楓の旦那が少し可哀想だった。
愛情を注いだら愛情が返ってくる。
これが意外と難しくて、それでいて奇跡に近いことなのだとしたら。
俺は諦めなくて楓を好きだと言葉も態度も止めなくて良かった。
大きくぽっかり浮かんだ月に思いを馳せる。
どうかこんなつまんねえ政略結婚が二度と起こりませんように。
次の朝には、全て散ってしまっているだろう。
因果の上に咲く美しい花は。
俺と晤郎で、全て終わらせるのだから。
ともだちにシェアしよう!