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そうだ。家出しよう。五

二撤の俺には、絢斗の声は半分も頭の中に入ってこなかった。 答えは勃起したちんこ。それでいい。  雲仙寺壊滅計画、楽しい。俺有利になるように契約書の作成に弁護士何人も雇って、うんと長くてチェックがおろそかになるような長文にして、あとは生きてきた時間が長い分、悪知恵の働く老害との化かし合い。 「……」 楓は、この屋敷に尋ねてきたときには既にもういないってことにしたいな。 あいつらが必死で探しても、俺と絢斗の手の中。 楓は、何も知らないから騙された体にすれば安全だ。 人質にもなる。 「男の真ん中でブラブラしてるもの、か」 目の前の魔法の箱でぐぐると、『ネクタイ』と答えが出てきた。 なんだ。簡単じゃん。 あいつの特注のスーツの中心に、趣味の悪そうなネクタイが確かにあった。 「紫呉、失礼するぞ」 「あ、どうぞ」 てっきり絢斗が答えを聞きに来たのかと思ったら、晤郎が入ってきた。 晤郎は少し迷惑そうに頭を掻きながら、俺に近づいてくる。 「で、楓さまに見つからないように来いってなんだ」

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